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【Vol.24】失敗から学んだ組織変革のポイント(下)

さて、組織変革のお話も最後。
果たして、これが期待値通りかは分かりませんが、自身の棚卸しとして。
2020年の最後のpostをこれで締め括りたいと想います。

ちなみに、前回までのお話はここで。

前回も書いた通り、4年間在籍していた営業部から異動し、担当したことない業界、ほぼ初めましてのメンバーのいる組織へと営業部長として異動する訳ですが、この組織で僕の組織づくりのポイントが明確になる訳です。

掲げていたテーマは変わらず。

属人的な要素の強い事業の中で、再現性高い成果を創り出すこと。
組織を大きく変革していくためにも、人材輩出組織を作る。

この2つ。

そのために、メッセージをシンプルにしながら、アタリマエレベルを高い水準で設定する。そして、自分の範囲で成果を出し、成功体験を積みながら、仲間を増やしていく。ことあるごとに、同じ言葉で、同じフォーマットで伝え続けること。

これが前回、前々回で必要だと言っていたこと。

先日社内の卒業講演として話した2時間の話を聞いていた約200人の中で、僕の下に付いたことのあるメンバーのほとんどが、

「次に何を言うのか、この後どんな展開にかが想像できた。」
「きのしたさんのベストアルバムみたいな内容でしたね。」
「門下生にいた人間は、きちんと理解できているかの確認になった。」

と言ってくれていたことで、一貫性を持って言い続けてきたことが、
間違っていなかったことを教えてくれた。そして、彼らが一定レベルのプレイヤーへと成長していることが何よりの自信になった。

組織を良い形に変革したいのであれば、マネジメントがめげずに求め、言い続け、成果を出し続け、背中を見せ続けるしかない。どんなにうまく行かなくても、めげちゃいけない。諦めちゃいけない。

ゴールを掲げて、前に進んでいれば、結果として、みんなが付いてくるようになる。自分から付いてこさせようなんて無理。魅力的なゴールイメージを描き、みんなが到達したいと想い、そこに向かう道中で、鼓舞し続け、道を示し続けること。

これをマネジャーができるかどうか。

僕は、控えめに言って仕事が大好きです。だから、どんだけ忙しくても、どんだけうまく行かなくても、楽しい。正確には楽しめる。
だって、成功体験があるから。
お客さんが喜んでくれて、すごく嬉しかった体験があるから。

一日の大半を過ごす時間の中で、メンバーにも楽しんで欲しい。
成功体験を積んで、楽しいって思って欲しかった。
どうせやるなら、楽しんだもの勝ちだもの。

自分が楽しければ、一緒に働いている人も影響される。
だからこそ、自分が一番楽しむ。

”楽しそうに仕事していますよね!”とよく言われますが、
本当に一番うれしい褒め言葉な訳です。

「メンバーが〜」、「お客様が〜」、「経営陣が〜。」文句を言いだしたらキリがない。変えられない範囲のことを話しても仕方がない。

だったら、自分の範囲をきちんと変える。
そして、同じ方向に変えたい仲間たちと協力して範囲を広げていく。

ここは、入社した時から何も変わらなかった。

ただし、目指しているゴールや到達点(一緒か)が、明確になっていったり、少し高くなったり。そんな変化はあった。企業としてどのような方向に向かうべきなのか、磨かれていった感覚はあった。

じゃあ組織が変わった結果なにが起こったのか。

前の組織と新組織では、業界が異なる、メンバーも異なる中で、共通項と相違点が見えてくる。そして、自分が一番知らない状態が生まれる。ただ、知らなければならない情報は明確になっている。だからこそ、情報収集の効率が上がる。そして、成功事例や失敗事例のエッセンスだけが浮かび上がって見えてくる。

だからこそ、戦略の精度が上がる。勝ち筋が明確になっていった。

具体的な話はここでは書けませんが、以前の業界のお客様に求められていたこと、うまく行っていたことと、いまのお客様でうまく行っている事例や求められていることを比較した時に、大きくパターンがあることが分かる。それがなんなのかを抽出し、言語化する。具体と抽象を行き来して、メッセージ性を強くする。そして、キーワードができたら、一貫性をもって発信し続ける。

要するに、コンセプトを中心に置いて、施策を考え続ける。すべての施策をコンセプトに照らし合わせ、そこに合っているのかどうかを判断基準にする。

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そして、自分の中で大きな変化が、”自分が一番知らない状況だった”ということ。お客様も、業界も、メンバーのことも、一番知っていることが少ないからこそ、メンバーに教えてもらわなければならなかった。自分がメンバーに教えてもらうからこそ、自分に返せるものは何か?を必死で考え続けた。

いままでは、自分の求めているレベルとの差分を指摘し続けて、なぜ足りないのか。を問うていた。でも、できないもんはできない。だったら、いまの状態を認めて、受け入れて、そこからどうやったら前に進めるかを一緒に考えれば良い。そして、いまのその状態で活きる場所と、強みを強化できるMissionと、足りない部分を伸ばせるMissionをバランスよく与えて上げればいい。

要するに、
”お互いの強みで補完し合いながら、成果を作っていけばいいじゃん。”
”その子のペースで、その子の個性を活かして組織運営すればいいじゃん。”
っていうアタリマエのことに気づいたんです。

部長だから、課長だから、管理職だから、できなきゃいけない、きちんとしていなきゃいけない。もちろん、そういう側面もあると思うけど、結局人だし、支えながら生きている訳です。(by 坂本金八)

2015年に転職し、激動の中で組織変革をしようとしてきた訳ですが、
5年の間、やっていることは大きく変わらなかった。

みんなが成果を出せるような状態を作りたい。
成功体験をみんなに味わってもらいたい。
ただ単に、みんなにも楽しく仕事をして欲しかった。
じゃないと、お客様に喜んでいただくことなんてできないから。

それが、”人材輩出組織”であり、”再現性の高い成果”という言葉に置き換えられ、勝ち筋の抽出とコンセプトの一貫性みたいなものに繋がっていった。

さて、
3部作のタイトルにしている”失敗から学んだ組織変革のポイント”ですが、
それは、いままで伝えてきたことに加えて、

”全員が組織の主役であること。”
”全員が、「ここは自分の組織だ。」”と思える状況を創り出すこと。
つまり、所属している組織に誇りを持てる状況を創り出すこと。

そして、

”1人でも多くのメンバーが、もっとこの組織を、会社を良くしたい!と想い、行動に移せる状況を創り出すこと。”
”その変化を生み出す行動を、マネジャーが前面に立って支援し、背中を押すこと、必要な仲間を集めてくること。”

”マネジメント”の日本語訳が”やりくり”であると考えると、きっとこういうことなんだろうなと。

当たり前な話ですが、結局、自分1人では組織は成立しない。メンバーがいるから、自分は役割をいただけていると考えれば、感謝しか生まれない。

もしかしたら、求め続けて引張っぱり続けた方が、短期的な成長スピードは速かったかもしれませんし、統制は取れていたかもしれません。
でも、Sustainableではなかったと想います。

お客様に対して価値を提供し続けるために、求めていただくレベルを高めていただけるように、組織として強くなれる方法を考えること。

これがマネジャーの役割であり、組織を預かるものの責務だと想います。

うまく行かなかった最初の頃から、ここまで考えられるようになったのは、どんだけ無茶苦茶なことを言っていても、付いてきてくれたメンバーがいたからです。

この場を借りて、御礼を言いたいと想います。
本当にありがとうございました。

そして、3部作読んでいただいてありがとうございました!
次回は年明け、1月から何すんの?について書きたいと想います!

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