見出し画像

またかよ入院日記 2

前回はこちらです。


手術当日 その1(術前)

お食事が良いし、新聞を読んでひっくり返ってテレビ(無料だ)を見てダラダラと過ごしておりましたらすぐに当日になりました。
当日は朝から絶食です。

これから手術って時はあまり食欲もわかないのですがこの日もそうでした。それより、血圧が高いのです。常時上が150くらい出てしまう。

もともと血圧は高めですが、ここまで高くはない。やはり緊張しているのでしょうか。それともどこか悪いのでしょうか。
血圧の高さが手術に悪影響を及ぼさないといいけど、と思い、そんな風に不安になるとさらに血圧が上がるという悪循環に陥っていたようです。

無意識のうちに上がっちゃうんだもん、しょうがないよな。よし、深呼吸だ。
最初に吸うな、まず呼である(息を吐く)
ゆっくりゆっくり

ところがまともに2~3回も深呼吸しないうちに看護師さんが現れまして。
「お腹の中のものを全部出すので浣腸しますね」

ああああそうでした。腹の手術の前には浣腸があるんだった。アレ嫌ですね。誰でも好きじゃないと思うけどしかたありません。「5分くらいは我慢して」と言われたのに1分もたたないうちにトイレに駆け込みました。ひーひー

こういう、「手術のための準備あれこれ」ってのも体力がいるなあと実感します。もちろんそんなこと言ってられない場合や緊急手術もあるでしょうが、病気や不具合を回復させるためにはある程度の基礎体力が必要だというのは覚えておいた方が良さそう。基礎体力が無いと最善の治療方法が選べない、ということがあり得るわけで。

手術は午後の遅い時間だったので、それからも絶食のまま待ちました。それがあとであんなことになろうとは……

いよいよ手術へ

さて、とうとう時間が来て看護師さんが呼びに来ました。
はぎのさんに教えてもらった「まるでこたつソックス」を履き、上着を羽織って歩いて行きます。

そうなんです。この病院では手術前に体温が下がるのを防ぐため、暖かい靴下をはいて上着を着る(体温の下降を避ける)ことが求められていました。少しでも体温を上げて(維持して)おいた方が、術中や術後の回復に良いのだそうです。全身麻酔すると体温が下がるのかな。いったん仮死状態にしちゃうってことですからね。
森野もふだんから足先が氷のように冷たくなる性質なので、まるでこたつソックスには大変恩恵をこうむっています。このときも手術室まで暖かく守ってくれました。

手術室前でいったん待ち、その間にシャワーキャップのような帽子を頭にかぶります。患者の自分だけでなく、ここにいるすべての人がこれをかぶっています。そのあと、さらに歩いて行って、いくつかある手術室の1つに入り、真ん中の手術台に横たわりました。

主治医や看護師、麻酔医の方々が次々と声をかけてくれます(が、術衣にマスクだし誰が誰だか全然わかんない)。
身体の上に大きなタオルが掛けられます。おおお!

当日は普通の病院パジャマではなくて、手術用の寝間着(前開きの長い奴)を着ていたんですけど、それがですね、掛けたタオルの下でババババッと外されていきます。うわーーこんな構造になっていたのか!(下図参照)

いっしょけんめい描いてみた

手術用寝間着の構造に感動していると、麻酔医さんから声をかけられ、「これからですからね」みたいな言葉に「はい」と答えたような気がするのですが、その後は……


暗転
……
…………



手術当日 その2(術後)

「森野さん、終わりましたよ」「森野さん」という声かけで目が覚めました。周囲がバタバタしています。何となくベッドが移動しているような感じがして気がつくと病室でした。意識は切れ切れ。

前回(胆嚢摘出)とは違う病院なんですけど、まったく同様に、両足のふくらはぎに血栓防止のための自動マッサージ機が付けられておりました。規則的にふくらはぎを、モミモミ、モミモミ、ってするやつです。両足一度ではなく片方ずつ来ます。ああ気持ち悪い。

さらに管がいっぱい付いています。点滴、尿管、心電図もあったかな。自分自身は身動き取れないような状態で、しかも、痛い。

痛い

痛い、腹が痛い!


うーん全身麻酔から覚めた時ってこんなだっけ?
こんなんならもう少し気を失っていたかった。痛いよ~痛いよ~

鎮痛剤は点滴から入っているはずなんですが痛い。
うーうーとうめいていたら看護師さんに「座薬なら入れられますけどどうします?」と言われたので、即座に「ぐだざい……」と、うめきました。

この座薬がかなり良く効きました。すばらしい。おかげで一瞬でも眠れたのでありがたかったです。

残念ながら2時間くらいで座薬の効果も切れ、目が覚めたらまた痛みが復活。
いたいよ~いたいよ~(泣)
眠れないわけですよ。ちょっと眠っても30分くらいで起きちゃう。しかも全く動けないので時間がどのくらいたっているのかわからない。

でも過去の胆嚢摘出経験から、時間が経てば楽になるってことはわかっていました。
ああ早く時間が経ってほしい
早く明日になってほしい
時計も見えないし動けないので、う~~う~~と唸りながら数を数えました。

い~~~ち
に~~~~
さ~~~ん
し~~~~

このペースで100まで数えたら、だいたい7~8分たっているかなあ、とか、そんな感じ。

そんな状態なのに、どういうわけか頭の中ではずーーーーっと曲が流れてるんですね。イヤーワームという奴です。いつも勝手に流れちゃうんです森野の脳は。しかしこんな時まで流れんでも!
本当にどういうわけか、この時はビバルディ「四季」の、「冬」の第2楽章(雪の上に陽がさして小春日和よ~ん、みたいな感じの音楽)がエンドレスでずーっと鳴っておりました。なぜこの曲なんだと頭の別の所で考えながら、さらに別の場所で数を数えながら、う~~う~~とうめきながら、ビバルティは鳴り続けたのでした。
もう、超謎!

さらにさらに追い打ちをかけるような事態が!

手術跡周辺が痛い痛いとうめいていたら、多分、夜中の3時頃(?)くらいから急に、全然別のみぞおちに鋭い痛みが!

ああこれはだ……

場所と言い痛みと言い、明らかに空きっ腹に胃散が出すぎて痛いときの痛みです。
何なの今回は?
罰ゲーム?

でもね、みぞおちを除いては、胆嚢摘出の腹腔鏡手術の時もこうでした。
手術当日はどうしても痛いの。身体中に管が付いているし、動けず気持ち悪いし。
でも翌日になれば、時間が経てば必ず楽になるから。
それだけを信じ、不必要に痛む胃とビバルディが鳴る頭をかかえ、じっと我慢して朝を待つ森野なのでした。


次はここ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?