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中1のコンプレックス

中1の息子が部活の大会があり、学校で練習した後、大会の会場まで顧問の先生を含む部員何人かで電車で移動した時の話です。

息子は財布も電子マネーも持っていなかったため、同級生の背後にピタリとついて改札口に入ってしまった。そうすることで目的地の駅改札を出る時も同じように同級生の背中に触れるか触れないかくらいの後ろについて出てしまったようだ。

無賃乗車をしてしまったのである。

その日は土曜で大会のあと息子とわたしは用事があったため、わたしは車で大会会場へ迎えに行き、大会終了後、息子を車に乗せて会場をあとにしました。その車の移動中に息子から状況を聞きました。

わたし:なぜ、財布を持って大会へ行かなかったのか?

息子:大会注意事項の用紙を見た時、持ち物として交通費も書かれていたが、その交通費の意味とは、ほとんどの生徒は徒歩通学だが、何人かは電車通学やバス通学している生徒がいるので学校までの交通費という意味で解釈していた。あと、前回の大会では学校から会場へは電車を使わず徒歩だったので、交通費は持っていかなかったようだ。もっと細かくいうと、前回では学校から大会会場まで徒歩20分、今回では学校から大会会場まで徒歩15分。今回の方が近いのに電車で移動したと言うことになるようだ。息子の言い訳は、意外と納得できたのだ。が、問題はそこではなかった。

わたし:なぜ、改札口入る前に先生や部員に交通費を忘れたことを言わなかったのか?

息子:学校から会場へ向かうとき、ただ誰かのあとについて歩いていたら、いつのまにかみんなが改札口の中へドンドン通り抜けていたので、咄嗟の判断だった。

ここに息子のコンプレックスが存在している。

小学校のときから放課後友達と遊びに出かけたことなどがまずない。それに今でも学校の休み時間はいつも一人で過しているようだ。親、親戚関係以外の人と目を合わせて会話をすることができない。先生や生徒から話しかけられれば返事はするが、自分から話しかけたりすることができない。いつのまにか友達がいなくなっていた。

小学低学年の頃、児童相談所へ通っていました。そのときにスペクトラム自閉かもしれないが心配いりませんと言われ、通っていれば少しずつ治りますと、温かいお言葉に励まされました。
いわゆる障害ということになるのだが、そうすると見た目でわかる障害と、見た目だけではわかりにくい障害もあるのだと、はじめて感じました。

学校での息子は普段から間違えないようにしたり、忘れ物がないようにしたり、目立ったないようにみんなと同じようにしたり、いつも気をつけているようだ。その理由は「怒られたくない」より「会話したくない」なのだ。そしてその会話は大抵イレギュラーなコメントになるので、イレギュラーなレスポンスが必要になる。そうすると挙動不審な動きになり、思ってもいないこと言ったり、辻褄の合わないことを言ったりしてしまう。障害が可視化されてしまう。

だから息子は何事もなくスルーして毎日過ごすことを心掛けている。

何事もない毎日は普通の中学生にみえる。

とりあえず無賃乗車に関しては後日、部活の顧問の先生には、歩いて会場へ行くと思い財布はあえて持って行かなかったことを伝えたのだが、やはり「なぜそのとき言わなかったの?」と聞かれたらしい。黙るしかない息子。
その後、先生と一緒に電車会社へ謝罪と乗車代払いに行っていただきました。
学校の先生や顧問の先生はどこまで理解してもらえたか心配である。そして、同じような状況を経験した小中学生達もきっといるのではないかと、思うようになりました。

普通の親なら子どもに対して「勉強しなさい」と言うかもしれませんが、わたしは息子に対して「みんなと外で遊びなさい」と言いたい。
普段から先生や部員の同級生たちと、たわいもない無駄なおしゃべりをしてほしいと思う、今日この頃です。

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