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詩みたいな【なにを】#シロクマ文芸部

お題「読む時間」から始まる物語

【なにを】

読む時間が訪れると私は目を覚ます。
どれくらい眠っていたのだろう。
部屋の中は明るくなっている。

ベッドから身を起こし、足指をそっと床に着ける。
つめたさが背筋を這い上がり、頭がはっきりする。
読む時間が訪れたのだ。 読まなければならない。

なにを?

思い出すために私は立ち上がる。
部屋の中央には机がひとつ、椅子が一脚。
机の上には、コーヒーが置かれている。

壁面は、天井までみっしりと覆い尽くされている。
そうだ、これを読むのだった。
私は椅子に座り、コーヒーをひと口飲む。

そして読み始める。
読み終えたものは消えていく。
それでも壁面は覆い尽くされたまま。

だから私は読み続ける。
一杯のコーヒーがなくなるまで。
でもコーヒーが減ることはない。

私はなぜここにいるのだろう。
なにかの罰?
その答え探し?

コーヒーがなくなり
眠りが再び訪れるまで
私は読み続けなければならない。


それにしても


私が読んでいるのは、なに?


おわり

(2023/9/24 作)

小牧幸助さんの『シロクマ文芸部』イベントに参加させていただきました。
あれ?また、詩みたいなのになっちゃいました(;・∀・)秋だから…

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