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掌編小説【オアシス】♯毎週ショートショートnote

お題「ヘルプ商店街」

【オアシス】(410文字)

2050年。人々はAIに仕事を奪われ、競争が激化し、ストレスは極限に達していた。そんな中、ある『商店街』が脚光を浴びている。
シルバー人材商店街、通称『ヘルプ商店街』。疲弊した心に救いを求めに来た人々は、ここで生き返った心地になる。
『求めよさらば与えられん』
商店街入口の横断幕にはそう書かれている。

『聴きます屋』では、耳の遠い爺さまが仏のような微笑みを浮かべ、うなずきながら話を聴いてくれる。聞こえているかどうかはどうでもいい。聴いてもらった人は、憑き物が落ちたように元気になると評判だ。

『和惣菜・ちゃいろ』では、お婆さんが、今では珍しい茶色い煮物だけを売っている。一口食べれば涙がこぼれ自殺も思いとどまる。

『さんぽ屋』では、ゆっくりとしか歩けない爺さまと一緒に散歩をする。効率?なにそれ?価値観が崩壊し、人々は解放される。

『ヘルプ商店街』、それは街角のオアシス。
慈悲深く知恵多き爺さまと婆さまが、今日も人々を待っている。


おわり

(2023/2/28 作)

『たらはかに』様の2/26~3/5のイベントに参加させていただきました☆
「スキルってなに?」みたいな役立たずな私、この先、生きていけるのか…
つい、自分にもできそうな店を出店させてみました…(;・∀・)きてね

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