見出し画像

祖母のこと *カボチャとゴーヤ

こんにちは。

少し祖母とのわずかばかりの思い出を綴りたいと思います。

祖母の家を片付けておりますが、祖母とは離れて暮らしていたため、お盆やお正月の限られた時しか会うことはありませんでした。
大学生になってから、就活の時や何かのおりに四季に1回くらい1人で尋ねることはありましたが、祖母のところで一緒に暮らしていた、というわけではないので思い出の総量としてはとても少ないです。かき集めるように大切にしていきたいと思っています。

家庭菜園のゴーヤ

祖母は家の裏の小さいお庭で野菜を育てていました。
柿の木、金柑の木、さつまいも、トマト、オクラ、ししとう。
食べ物だけでなく、仏さんにお供えする菊や小さなお花も育てていました。
小さなお庭で土いじりをすることは祖母にとって生活の一部だったように思います。
いつの日だったか、塀の裏に連なっていた紫陽花が道にはみ出してしまっていたか何かでコンクリートで埋められてしまっていたのはとても残念でした。

人生で初めてゴーヤを初めて見たのは、そんな祖母の家庭菜園でした。

それまでゴーヤは我が家で食卓に並ぶことがない野菜だったため、ゴーヤチャンプルという美味しいものが沖縄にあるらしい、という幻の野菜でした。
(おそらくアニメか漫画で出てきました。『あたしンチ』だったように思います。小学生の頃アニメでやってて大人気でした。私の周りだけでしょうか。エンディングも歌えます。情熱の赤い薔薇も歌えます。そしてジェラシー)

え、あたしンチにベスト盤が出ているなんて!クリスマスに買おうかな!

お話はゴーヤに戻って…
ゴツゴツしているフォルムを初めて見た時、「わ〜〜!!」と歓声を上げたことを覚えています。これがゴーヤ!人生で初めての、ゴーヤ!
私があまりに喜んだため、後々、祖母がゴーヤをたくさんくれるようになってしまったことに、ゴーヤが苦手で調理しない母に苦言を言われました。

いざ初めてゴーヤチャンプルを食べてみると苦くて食べづらくて歓声を上げた割にはあまり食べませんでした。母の苦言も納得です。
今でも夏にスーパーでゴーヤが並んでいるとそのことを思い出します。

今はゴーヤチャンプルやゴーヤのお味噌汁を家で作ります。でもやっぱり苦くなってしまう。アク抜きに課題あり。
塩とお砂糖で揉んだり、いろいろやってみているのですが…。
沖縄で食べたゴーヤチャンプルは美味しかったので、やはり何か秘密のやり方があるんだと思います。

沖縄で食べた美味しいゴーヤチャンプル

我が家口伝!カボチャの煮物

料理が得意な祖母は、大学生になった私にカボチャの煮物を作ってくれました。
もうあまり料理はしなくなっていた頃なので、とても嬉しかったです。

「この台所な、綺麗にしてもろてんけど、使うのが難儀やねん」

台所を綺麗にリフォームして、台所とリビングを隔てていた土間を埋めて段差をなくし、火事の心配がないように電気調理に変わりました。祖母の家の大規模なリフォームがあったのです。生活しやすいようにお風呂もリフォームされました。
台所には食洗機までついていましたが、祖母にはどうにもその新しい台所が難しくて料理が遠のいてしまっていたようです。

綺麗にした板間のリビングには祖母はあまり行かずに、ずっと自分が過ごしてきた少し寒い畳の居間を好んでいました。
叔父さんは「祖母のために」とリフォームをしたのですが、やはり人の為に何かをするというのは難しいものなのだと思いました。
(それでも叔父さんがお風呂をリフォームしてくれたおかげで、私は祖母の家に行きやすくなったのでとても感謝しています)

ザクザクザク
祖母は慣れた手つきでカボチャを切ると、鍋に放り込むと醤油、みりん、酒、砂糖と手際よく入れていきます。
それは、母が作る煮物と分量と同じでした。

好物だった母の煮物。
「この分量で作れば、煮物は間違いないねんな」
と母が私にレシピを教えてくれた時のことを思い出しました。
間違いない、母の味。

醤油
みりん

砂糖

全て同じ比率でいれて、お水はカボチャが浸かるくらい。
塩梅は長年の主婦の勘でパッパッパと。
お魚の場合は、そこにスライスした生姜を入れる。
チューブより、やっぱり切った生姜の方が香りも味がいい。
好物の母の煮物の味、祖母から伝わった秘伝の煮物。

あとはコトコト煮込むだけ。
コトコトコトコト。
IHがカボチャを煮ていきます。
祖母とカボチャに味が染みるのを待ちました。

祖母には使いづらいIH

口伝でレシピを受け継いだ私の煮物は、
やっぱり祖母と母と同じ比率で調味料をいれます。
コトコトコトコト、煮えるのを待っています。
今では煮えるまでの間に他のことを慌ただしくやっていたり、電気圧力鍋を使って時短調理をしています。(電気圧力鍋だと味が染みすぎてしまうのでレシピを変えないといけない罠がありました)

それだからか、いっそうに祖母と一緒にかぼちゃが煮えるのをコトコトこと眺めていた穏やかでゆったりとしたなんとも言えない贅沢な時間を時々思い出します。

コトコトコトコト。

▼祖母の家の片付け記録はマガジンにまとめています。

切り絵作家 ひら子

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?