見出し画像

実家の違和感

いま、約20年ぶりに実家で生活をしている。

自分で買ってこなくてもゴミ袋やシャンプーが補充されていて、
郵便物はポストから取り出されてテーブルの上。

あ〜なんて有難い..!家族の誰かがしてくれたんだ。
ひとり暮らしがながかった私にとって、こんな些細なことでも感謝であふれる日々をおくっている。

だけどその一方で

「そうだった、うちってこういうトコあるんだよな..」と
妙に冷静さを取り戻すシーンもある。

例えば、リビングのドアノブ。

むかし父が取り付けたんだけど
その時ヘンな付け方をしたままになっている。

最初から下を向いている。

しかしこのままでは開かず、
外から帰ってきてリビングに入るには
このドアノブを9時の方向に持ち上げなければならない。

そして反対のリビング側はというと・・・

こっちはまともなのである。

お客さんがいらしていて、
リビングから「ちょっとお手洗いに・・」と立つ時はこっち側なのでいいが、

用を済ませてリビングに戻ろうとすると
待ち構えているのは

こいつだ。

初見殺しのドアノブ。
お客さんは困惑して開けられない。

「あの〜・・」と向こうから小さい声が聞こえてはじめて

「そうだった!」と誰かがドアに駆け寄る。

家族は慣れすぎててドアが変なことに気づけなくなっている。

たいてい「ドアノブ変でしたね」と笑って帰ってくださるから助かっている。
(すみません何のお構いもしませんで、ドアノブの話くらい土産話にしてやってくださいね。)

実家というのは、離れてみないと世間とのズレになかなか気づけない空間でもある。

私もドアノブなんて細かいことすっかり忘れてた。
そんな、かつては当たり前だった生活がまた始まった。

20年越しに舞い戻り、次は何に違和感を感じるんだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?