僕は褒められるとぎこちなく笑う
自分のやっていることを褒めてもらえる機会が最近ちらほらあって、それは喜ばしいことなんだけど、なんだか今の自分が褒められることに臨場感がない。
だからいつも「ありがとうございます」とぎこちなく笑うのに留まる。
それはなんでかって言うと、今当たり前にできることは今の僕のおかげじゃないからだ。習慣に従いながら行っているから、今の僕は負担を感じていない。
「呼吸できるのってすごいですね!」と言われてもピンとこないように、不随意的な行為を褒められても戸惑いを感じてしまう。
むしろ、それはできなかった時の僕がああでもない、こうでもないと試行錯誤していたおかげだ。当然なんだけど、どんな物事も始めた時の自分がいたから今の僕がいる。
だから、その時の僕のことを誇りには思うのだけど、もはや当時と現在の僕はどこかで異なる人間になってしまっている。だから、臨場感が覚えられないし、恐縮するくらいしかできない。
じゃあ、なにについて言われるのが嬉しいかといえば、最近起こった失敗談とか聞いてほしい。「これやってみたんだけど、全然上手くいかないし、こんなミスしちゃってさ」と語る自分は結構良い顔をしていると思うのだ。
次はどうしてやろうかって、心のどこかで考えているから。
失敗もたくさんしたし、今も失敗だらけだけれど、ある程度期間を経たものは「あの時やらなきゃよかった」って思うことはあんまりない。あの時やっておけばよかったと思うことはいくつもあるのに。
過去というのは確かに辿ってきた道ではあるけれど、「過去の私」は「私」ではない。道は道に過ぎなくて、ある地点の「私」と今の「私」はもう脱皮して、違う生き物だ。だから、とらわれなくていい。これからなんにでもなれる。
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