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フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン/38年目のクリスマス[台にアニバーサリー]

フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン

どうしてかしら 急に身体が軽くなって自然に足がお台場に向かう そういえば今夜、中秋の名月だわ え、誰、この人
「月からお前を迎えにきた お前の刑期は了った さあ戻るぞ かぐや」
「ちょっと待って、私悪いことしてないわよ」
「月の世界の記憶は消されるんだ 3年前より昔のこと覚えてないだろう」
「そういえば・・・でも待って 娘はまだ2歳なの」
「心配ない 後のことはお前の夫に頼んでおいた」

あら、どうしてかしら、自然に足がお台場に そういえばパパが言ってた ママと出逢ったのはお台場だったって あら満月 そうだ、パパがちょっと月を見に行くといってそれっきりいなくなっちゃったけど、あれも中秋の名月の日 私の22の誕生日の翌日だった きっと、ママが迎えにきたんだわ だからわたしは哀しくなかったのね 今日は2人の記念日か お幸せにパパ あら、向こうから素敵な人が・・・

「いい月ですね お台場から観る月は特にきれいです あなたのように」
「あら、お上手ね お名前は?」
「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーンです」
「まあ、おもしろい人」
「気に入っていただけて何よりです 貴方のお名前は?」
「月乃しずくです」
「素敵な名前だ 今日を2人の記念日にしませんか」

  お台場でだいに記念日恋月夜

38年目のクリスマス

「今年のクリスマスは満月よ」
「へえ、そうなんだ」
「なんでも38年ぶりですって」
「へえ、そりゃあすごいね」 
「あら、あなた忘れたの、あのときのクリスマスも満月だったんだけど」
「すまん 君にどうやって指輪を渡すか頭がいっぱいでお月さんどころじゃなかったんだ きっと」 
「久しぶりに行ってみない、クリスマスのお台場」
「そうだね 晴れるといいけどね」
「晴れるわよ 2人の38年目のアニバーサリーだもの」

  (注)クリスマスの満月は2015年です

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