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詩人と歌人に憧れて作った短歌

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記事一覧

【短歌】私が動けば彼も動く

"幕張で歌っています休日はエロ本読んでる僕の母さん"

"古の面影残す新型の記憶装置はボールペン型"

"食卓で両手合わせる君を見て箸を一回置き手を合わす"

【短歌】彼が止まれば私も止まる

"8時間見つめる先は将棋盤二人交互に天井を見る"

"新型の記憶装置を手に入れた3回ボタン連打で起動"

"食卓で両手合わせて待ってたら両手合わせるお隣の席"

【短歌】家に帰って寝て起きるまで

"夕闇で気配が霞む公園に壁打ちの音がまだ響いてる"

"寝ていれば喧嘩しなくて済むことは目覚めたあとにしか知り得ない"

"これまではまぶたが開いていただけで僕を見るのは初めてですか"

"過圧縮言語解凍不全症きづいたときはすでにておくれ"

"感情を刻んだ場所に帰るまで四十九日のカウントダウン"

"君の手で「いいえ」に丸をしてほしい。その時僕は眠ってるから"

"起きてるよ。世界を騙し寝たふり

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【短歌】 一二三四五五四三二一

"本棚の上段端の文庫本。友人から借りて置き去りに"

"使わないうちに埃に包まれて、自分の顔さえ反射せぬほど"

"選択の全てをまとめる革財布。そのすべてをどこかに落とした"

"リモコンがレンジの上においてあり、レンジの横に財布があった"

"5分だけ、進められてる時計見て『まだ大丈夫』と帳尻合わす"

 

"借り物も埃も世界も時間さえ、筆記用具と一緒に背負う"

"ペンと手帳、パソコンも入れ

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【短歌】指先は覚えてる

"あやとりに百年ぶりに触れたけど全く覚えてなくて笑う"

"指先が感覚だけで動き出し出来上がるのは絡まった糸"

"動画にて四段梯子を習得し あったあったと一人ではしゃぐ"

"当塾であやとりができる先生は他には誰もいないようだ"

"地べたであやとりしていた日々が指先から蘇る"

【連作短歌】粗雑な相棒

"とりあえず要所は押さえてくれるかな? 今該当者が5億人いる"

"容疑者は一億人に絞られた日本円を使った痕跡"

"言っただろ中華街には横浜の他に南京町があるって"

"舞浜と横浜くらいは許したが浜松町は流石にギルティ"

"容疑者は5人に絞られその中にヤツが加わる自然な流れ"

"なんでなの? むしろお前が犯人じゃん? そうでなくてもなぜここにいる"

"主犯でも共犯でもなく黒幕の証拠見つけた

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【短歌】雑

"川柳と俳句と短歌はほぼ同じエッセイとかもだいたい同じ"

【短歌】ここはエッセイと別の世界

"詠むときのドラフトに洩れた戯言は音も立てずに跡形もなく"

"山盛りの言葉を削り組み合わせ収まる形を見つけるパズル"

"指曲げて「足りない」「多い」と言いながらその形にも満足してる"

"「カギカッコが文字数に含まれないなら楽勝ですよ」"

"こちらでは「三十一字」を六文字で「みそひともじ」と読むときいた"

"あちらでは「三十一字」は音節で「『字』ではなくて『モーラ』」と言われる"

"そち

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【短歌】言葉にしたのが運の尽き

“「好きだよ」と伝える前にこぼれた「好きなんだ」が戦争の始まり”

"鳩尾の底から順に積み上がる言葉の重みは罪か貯蓄か"

"短文に畳んで並べた言い訳を『これはひどい』とさらにごまかす。"

"本当に? 指折り数え声に出す信じられんが確かに合った"

"幸福の鳩に絆され就職し、指を弾いて言葉を編んだ"

"イヤホンと私と曲を繋いでるBluetoothに割り込む着信"

"恋人を抱きしめる手は温かい

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