LAの人気占い師さんに今後を占ってもらう
「占いって信じます?」
お世話になっている心療内科の先生に「まさか、精神科医が信じませんよね」という意図を込めて質問を投げかけたところ、
「信じるも何も、僕の母親、霊媒師だからねぇ。」
と予想の斜め上の回答が返ってくるから、迂闊に人に同意を求めてはいけない。
ちなみに、先生は実家にいると突然物音がしたりコップが動いたり、家が揺れたりするらしい。モノが動くはまだしも、家が揺れるは流石につらい。ルームメイトを持つなら、なかなか理解のある人を探さなければいけないのではないか、と私がしてもどうしようもない心配をしてしまう。
話を占いに戻すと、私は今まで人生の中で2回、占いを頼ったことがある。
1回目は、20代でセドナに旅行で行った時。
「セドナといえば、スピリチュアルリーディング」という見出しでわざわざ2ページも割いて占い師の紹介をしている地球の歩き方を信じ、現地でなかなか予約の取れないという占い師さんに未来を占ってもらったのが10年ほど前。
さてその占いが当たっていたかというと、あまり何を占われたか覚えていない。
私は単純な人間なので、「あなたの未来は明るく、夢は叶う。あなたがやるべき
ことは、自分を信じることだけです」と占い師に言ってもらえたことだけしっかり心に刻み、細かい内容などセドナの赤土に埋めてきてしまった。
結局、占いが当たったかどうかより、私にとってはその時前向きになれたかどうかの方がずっと大事なのだ。
そして私は今年の春、もう少し前向きに生きていきたいなぁと感じ、セドナ占いの経験に乗っ取って、また占いを頼ることにした。
そこで、コロナ前までロサンゼルスに住んでいた親友から、彼女と彼女の旦那さんが1年に1度話を聞いてもらっているロサンゼルスの占い師さんを紹介してもらった。
私はニューヨークに住んでいるため、電話でタロット占いをしてもらうことになった。
緊張して電話した私に開口一番、
「キトちゃんっていうの?ちょー可愛いんですけどぉ」
とギャル口調のお姉さんの声が聞こえた。
そして、ギャル姉さんのテンポで占いは進んでいく。
「まずは近い将来を占いますね」
バサバサバサ(多分、タロット切っている音)
「気の合わない女性に会うでしょう」
「あと、意地悪してくる男性も出てきますね」
開始早々不吉な未来である。
次に、質問はあるかと聞かれたので、
脚本作詞家としてこのまま活動を続けて本当に生きていけるのか不安です、と打ち明けてみた。
ギャル姉さん
「では、未来を見てみましょう。」
バサバサバサ(多分、タロット切っている音)
「3年後くらいに…..
辞めたくなります」
私「えぇ…!!!」
今、この瞬間も、この道を進んでいいか悩んでるのに、3年後も悩まなければいけないのか、と徒労感を覚えたが、ギャル姉さんは続ける。
ギャル姉さん
「ここからが大事です、よく聞いてください。
3年後に辞めたくても続けた場合、
結構いいところまで行きます。」
私「本当ですか!?」
ギャル姉さん
「でも!!
私がいう"いいところ"とは、
楽になる、ということではありません。
苦労しがいのある経験を得られる、ということです。」
まとめると、
私はここ最近は男女にいじめられ、3年後に今の仕事を辞めたくなり、それでも続けると苦労が快感に変わり、進んでつらい経験に立ち向かうという、ボロ雑巾のような未来があるらしい。
しかし、これでは、少ない貯金を絞り出して占いをした意味がない。
私は前向きになりたいのだ!
「もう少し私の未来にいいことってありませんかね〜」
と弱々しい声で聞いてみた。
するとギャル姉さんは
「何言ってるの、あなたの未来はいいことだらけよ、
だってあなたにとっての幸せは"成長すること"だから。
いじめられたらいじめ返して、つらいことあればクソ野郎って言って強くなりなさい。」
占い時間20分の最後で突然ギャル姉さんは核心をついてきた。
そうか、私にとっての幸せは別に子供産むことや、家族と時間過ごすことや、お金稼ぐことじゃなくていいんだ。
私は突然、胸の奥に刺さっていた石ころが、ポトっと足元に落ちてどこかへ転がって行ったような、開放感を覚えた。
占いが当たったかどうか、本当に私の周りに気の合わない女性が現れるのかはわからないし、わかってたところでどうしようもないのだが、その日から夫と喧嘩しても、銀行口座の残高を見ても、そこまで心が乱れることは無くなった。
きっと、これが私の欲しかった占いの効果なのだろう。
"あなたにとっての幸せは、成長すること"と言われてなんとなくしっくりきてしまう30代になったことも、まぁ私らしくて悪くない生き方をしているなぁと納得し、3年後に来たるキャリアの危機に備え、今日もミュージカルを描き続ける日々を送っている。
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