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019_アルバイト(大学図書館)

大学図書館事務補助というアルバイトがある。
受付、配架・書架整理を行うアルバイトがある。

自学生だけを対象とした
大学が募集しているアルバイトだ。

勤務地が大学内というのは都合がよく、
空いている時間は本を読んだり
課題をしたりしても良いので
学生にとっては破格の勤務条件だ。
あと、地方にしては時給も悪くない。

そんなバイトなので辞める人は殆どいない。
たまたま卒業生の枠に滑り込むことが
できた自分は幸運だったといえる。


平日の勤務は16時半から22時半まで。
閉館後、館内の見回りと施錠確認を行い、
簡単な日報を作成して業務終了。


中央図書館は地上2階、地下2階の構造をしていて、
地下には一般開架ではない古い学術雑誌や論文、
寄贈図書がぎっしりと電動の分厚い移動棚に詰められている。


夜間出入口がある棟とは地下で繋がっているため、
1階の事務室で「異常無」の報告書を先に書き、
全館消灯を行い、最後に地下の巡回をして
そのまま帰宅するのが閉館作業の時短ワザであった。

巡回では移動棚のランプを赤に切り替え、
メイン電源を順番に落としていく。

その度にまたひとつ地下から灯りが消える。
換気設備があっても、窓のない地下では
じっとりとした湿度と息苦しさを感じる。

機械の重低音と自分が歩く音だけが充満する。



毎回ではないけど、
たまに足音が重なって聞こえる時がある。



報告書に書こうかなとも思うけど、
1階に上がる気にもなれなくて、
いつも気づかないふりをして帰る。



理由はないけど、
気づいているのがバレたら良くない気もする。





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