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不妊治療を職場で打ち明けるまで

「不妊治療をしていること、いつ会社に言う?」
みなさん迷ったのではないでしょうか。

私もたくさん葛藤しました。

【前回記事】
属性に当てはめることで、本当の私をみてもらえないことが怖くて
の理由が、一番の壁でした。


●働きやすい会社

私の職場では、働きやすい環境への配慮が進んでいる方だと思います。

有給・産休もとりやすく、働くママも多いです。

生活環境への配慮だけでなく

満員電車で通勤すると、
午前中仕事にならなくて。
12時出勤の方が仕事捗ります!

と相談すれば
勤務時間を変更してもらえるなど。

その形は多様化しています。

わがまま言いたい放題!
というわけではありませんが

理由を話せば、
配慮してくれることが多いです。

ただ、私にとって
「理由を話せば」が壁でした。



●なぜ私は言えなかったのか

勤務時間を変えてほしい!
固定休にしたい!等の理由は
今まで相談したことがあります。

相談しづらいと
感じたことはありませんでした。

ただそれは、
「その方が成果が出せる!」という
会社にとっても私にとっても
ポジティブな理由だったからです。

「不妊治療のために」勤務時間を変えたい
という理由は、私にとって
ネガティブな理由でした。

あとシンプルに、
話したくなかったです。

元々、プライベートと仕事は
きっちり分けたいタイプで

職場の仲間は好きでも
プライベートの話は
「できればしたくない」ことでした。



●私がプライベートを話さない理由


それは今までの経験からです。
こんな経験はないでしょうか。

いつもランチの時、彼氏の話をするAさん。
「週末、彼氏と旅行なの!楽しみ!」
「今朝、ケンカしたのよ。最悪」
となんでもオープンに話します


Aさんが何かミスをした時

「彼氏とケンカして集中力がないんじゃない」

Aさんが熱を出した時

「彼氏との旅行で疲れて風邪ひいたんじゃない」

こんな会話を同僚としてしまったり
心の中で思ったことはないでしょうか。

これはちょっと
意地悪かもしれませんね。

悪意なく
言ってしまうこともあります。

2人の子どもがいるBさん。
「突然で申し訳ないのですが、明日有給をとりたいです」
と理由を言わずに上司に伝えると

「お子さんいるし、仕方ないよ!気にしないで!
 困った時はお互い様だから!」


なんて言われることがあります。

もちろん悪気なく、
優しさからかけた言葉でも

Bさんの本当の理由は
別にあるかもしれません。
自分が歯医者に行きたいとか。

言いたくない理由があって伝えないと
その時相手に渡している情報で、
推測されてしまう
ことが多いように感じます。

私はそういった
「先入観」「相手の推測で勝手に判断されてしまうこと」が業務をする上で不利になると感じていたし

そもそも、業務上の利益に関わらず
一緒に仕事をする仲間には
いつでも対等に向き合ってほしいですし
自分もそうしたいと思っています。

だから、
プライベートの情報を 相手に渡しすぎること
に消極的になり

結果、職場で
プライベートの話をする機会が減りました。

「○○な人」と決めつけられるくらいなら
「よくわからない人」と思われている方が
仕事をしやすいと感じていたのです。

(ここは正直、諦めてしまった部分というか、楽な方法を選択してしまったので自分の悪いところだな...と反省している部分でもある)



●結婚したら、このスタイルが崩れた


結婚した時、ある程度予想はしていたのですが
案の定こんなことが起きました。

結婚の報告後、

体調不良で仕事を休むと
「新生活、何かと大変だもんね」
「旦那さんと何かあった?仲良く過ごせてる?」
「結婚式の準備もあるから寝不足になるよね」


少しでも顔色が悪いと
「もしかして、妊娠した?」

こんな風に反応が変わります。

もちろん、相手に悪気はありません。
むしろ気遣ってくれているのです。

でも私は、今までも
持病のせいで、体調不良で休むことがあり
結婚してから欠勤が増えたわけではありません。

「ちょっと会議室で話せますか?」
と、業務上の機密に配慮し
上長を会議室に呼び、
○○の件なんですけど〜と話し始めると

「うわ、まって妊娠の報告かと思ったーー!
 今抜けられたらどうしようかと思ったよ!」

という会話も生まれるのです。

ポジティブに捉えれば
「あなたのことを必要としてますよ。頼りにしてますよ。」ということでしょうか。

ただ、私にとってこれは
気持ちの良いコミュニケーションでは
ありませんでした。

妊娠した?と
聞かれることが怖くなって

顔色が悪く見えないように、
メイクを濃くしました。

相手に悪気がなくても
「妊娠していなくてよかった」という
メッセージは私を傷つける言葉でした。

「不妊治療をしている!」と言えば済む話。
そんなことはわかっています。

もし、不妊治療をしていることを言えば
休みもとりやすくなるし
職場の仲間もサポートしてくれるでしょう。

悪気のない言葉で
傷つくことも減るでしょう。

私の職場は、
そういう会社だとわかっています。

でも、私は
ネガティブな予測をします。

もし「不妊治療をしている」という情報から
相手が先入観をもつようになったら?


仕方ない理由で、
スケジュールを延期した時
「不妊治療していて忙しいから、仕方ないよ」
と言われるんじゃないか。

会議で意見が対立してヒートアップした時
「不妊治療でイライラしてるんじゃない」
と言われるんじゃないか。

また相手に悪気がなくても、
例えば勘違いが重なって

結果、理不尽に
「不妊治療のせい」にされた時
どれだけストレスを感じるのだろう。

もしかしたら...
不妊治療をやめてしまうのではないか。

と考えると
職場で打ち明けることができませんでした。

だって
私が不妊治療をやめてしまったら
私たちが子どもを授かることはないから。

夫が父親になることも
両親に孫ができることもなくなってしまうから。

「私が不妊治療をやめてしまうこと」
これだけは絶対に避けたいことです。

仕事に支障がで始めたり
休みをもらうことが多くなって
本当にどうにもできなくなったら話そう。

そう決めました。


●初めて仕事に支障がでた日

最初にそのことが起きたのは、
薬の副作用が起きた時でした。

多嚢胞性卵巣症候群と診断されて
ピルを飲み始めてから
蕁麻疹が頻繁にでるようになりました。

元々、アトピーなこともあり
蕁麻疹がでることは多かったのですが
ピルを飲み始めてから明らかに頻発しました。

病院の先生から
ピルの副作用の可能性は低いと言われましたが
直射日光に長時間当たった時は
特にひどくなりました。

当時、外回りをすることが多く
毎日のように蕁麻疹が出ていたので
初めて上司に相談することにしたのです。

それでも
「多嚢胞性卵巣症候群で、ピルを飲んでいます」
と言うことがどうしても嫌でした。

婦人科系の症状を男性上司に話すのって
より一層、躊躇しませんか?

ピル=避妊薬のイメージも強いですし
多嚢胞性卵巣症候群の知名度も
特に男性には低いです。

そこで私が選択したのは

「半分、嘘をつくこと」

持病(潰瘍性大腸炎)の薬が最近変わって(嘘)
その薬の副作用で
直射日光にあたると蕁麻疹が出て(本当)
夏の間だけでも外回りを減らしてもらえないか

という内容の相談をしたら

「なるほどね。それで、本当の理由は何?
 結婚式前だから、
 外回りで日焼けするのが嫌なの?」


という返答でした。

きっと
私が半分嘘をついていたせいで
話し方が嘘っぽいとか

つじつまがあわないような話し方や態度、
不自然な濁し方をしたのかもしれません。

普段から信頼関係が
築けていなかったのかもしれません。

とにかく「半分嘘をつく作戦」は
失敗してしまいました。

でも、今考えても
もう一度あの日に戻っても

私は不妊治療をしていることを
言いたくないのです。


どうすればよかったのでしょうか。
この答えは、未だに出せていません。


●問題はどこにある?

私は、不妊治療のことを気軽に話せない
社会の風潮に
問題があると思っています。

私の世代(現在:20-30代)は
学校で生理の授業を受ける時

女子だけが授業を受け
男子は校庭でドッジボールをしていました。

男性はそもそも知る機会がなく、
自分の身に起きないことは知らなくていいよ
という教育スタイルでしょうか。

(今は少しずつ変わってきている!)

大人になってもこの風潮が
根付いているように感じます。

これは女性特有の生きづらさでしょう。
男性上司に「体調悪い?」と聞かれて

「頭痛で」と答えると
「梅雨の時期、気圧の変化で頭痛になる人いるよね。薬飲んだ?」

と反応してくれたり

私が潰瘍性大腸炎になったときは
「潰瘍性大腸炎で」と伝えると
すぐにネット検索して、
「活動期は辛いんだね。その時は在宅勤務にしたら少しは楽なのかな?」と
知らない病名でも積極的に調べて、歩み寄ってくれたように感じました。

しかし
「生理痛で」と答えると
「あ..そうなんだ...俺、男だからよくわからないけど女性は何かと大変だね」

「不妊治療をしていて」と伝えると
「何かできることがあったら言ってね」と
という反応なのです。

私の経験では
女性特有の症状だと、男性も反応に困っているように見えます。一気に壁を感じました。

そして
「俺は男だからよくわからないけど」
という反応は

「これ以上相談されても困るよ」という
メッセージに聞こえていました。



●女性特有の症状を
 男性上司にどこまで相談するか


ここについては、賛否あると思います。

男性とは話したくない、
という方もいれば

男性でも話したい
年の近い男性は嫌だな、親世代なら話してもいい
女性にも話したくないよ

と人それぞれでしょう。

でもこれって
生理や不妊治療の話に限ったことでは
ないですよね。


頭痛だって同じですし

頭痛はいいけど、下痢の時は男性に話すのは恥ずかしいなって思ったりしませんか。

だから
「女性特有の症状は、
 男性は触れてはいけない、知らなくていい」


ではなくて
頭痛や下痢と同じように

「女性特有の症状について、
 男性も知っている。

 でも、どのようにサポートするかは
 相手に合わせる」


が良いのではないかと私は思います。

「男性も、生理や不妊治療について
 正しい知識を持っている」

という社会だったら

私も不妊治療について
もっと早く職場で打ち明けられたのではないか、
と思います。

管理職はまだまだ男性が多い社会において
「男性も知っていること」
不妊治療や生理の悩みがある女性も
生きやすい社会をつくる第一歩だと思っています。

Next「ネガティブな私の居場所

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あとがき

この記事の中で、具体的にエピソードを書いているのですが相手を中傷したり、その上司ひどいね。というコメントは望んでいません。

具体的に書いている理由は
不妊治療をされている方が感じることの多い
モヤモヤであると思ったからです。

このモヤモヤって言語化するのが難しくて、
ずっとモヤモヤし続けるのです。

私が言語化することで、
そうそれ!!とスッキリして
モヤっとが晴れる方がいればいいな、と思い
エピソードを載せました。

今回の書きたかったことは
「誰が悪い」ということではなく、そもそも不妊治療のことが話しにくい社会をどうにかしたいな、ということです!

特に身近な方で、エピソードを読んで不快に感じていたらすみません。
他にも具体的なエピソードを載せている記事があるので、削除してほしい記事があればお手数かけますが遠慮なくご一報ください。


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