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新宿 - 番番

安直にもほどがあるけど、この界隈を歩くと脳内に必ず流れるのは椎名林檎の「歌舞伎町の女王」。あの歌のメロディー、何回聴いてもすごいと思う。椎名林檎は好きでも嫌いでも無いけど、この曲は好き嫌いを飛び越えて脳に染み付いてしまった。

ところで、いくらなんでもグレッチでぶたれたら生死に関わると思うのだが、戦前デルタブルースの巨人・チャーリー・パットンは女をギターで殴っていたという逸話があるし、楽器で女を殴るミュージシャンというのは、行為の良し悪しは別としてサマになるのかもしれない。とはいえやはりギター、特にグレッチに限らずエレキギターで殴られたら痛いなんてもんじゃないと思うので、ウクレレあたりで手を打つのが妥当ではないか。でも高木ブーにウクレレでぶたれたら腹立つだろうな。

なんの話をしているんだ。

かねてより気になっていた新宿の老舗「番番」に足を運んでみた。19時過ぎ、入れ違いで出たばかりの一人客がいたのですんなり入れたけど、ものすごい賑わいだった。歌舞伎町の飲んだくれパワーが濃密に立ち込めている。

「ああ、こういうのいいなあ」なんて思いながら、一人まったり串焼きを頬張りつつレモンサワーを流し込んでいたら、隣で飲んでいた仲本工事を少し汚くした感じ(笑)のへべれけお父さんに話しかけられた。

「ひとり?よく来るの?」
「はい、ひとりです。実は初めてでして」
「初めてで一人でここ入ったの?勇気あるねー!」
「有名なんで前から来てみたかったんですよ~」

などと他愛も無い話で、なぜか無意味に笑い転げる。何が面白いんだか分からないけど終始ゲラゲラ笑ってるからつられちゃうんだよな(笑)

「ここはね、串が美味しいんだよ!」
「一本100円だよ!」
「100円でこれはなかなかないよ!」

という話をたぶん10回くらい聞かされた(笑)

僕も人のことは言えないけど、酔っ払いってホント同じ話を何回も繰り返すよなあ。

「これからオネーチャンと遊ぶんですか?」
「僕はね!オネーチャンよりオニーチャンの方がいいんだよ!」

と、まさかのカミングアウト。そっちの世界の住人だったとは。ゲイと言えば映画「モーリス」をイメージしている僕にとってはややショッキングな出来事だった。どう見てもヒューグラントではない。でもまあ、見た目と趣味趣向は関係ないからね。

ふと、高木ブーにウクレレで殴られて喜んでいる汚い仲本工事を想像した。

歌舞伎町はオソロシイ街だ。



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