適度に人がいる場所に、人ごみを回避しつつ写真を撮りに行きたいとふと思った日曜日。桜田門駅で降りてみた。全然人が降りないんだな、この駅。

ここには一年前くらいにも、同じようなノリで写真を撮りに来た。楠木正成のいかつい銅像と二重橋。それ以外には特にこれといって何もなく、写真映えする風景も見当たらない。

ロダンの「接吻」を撮ったばかりだからなのか、彫刻や銅像を撮影する楽しさに目覚めたような感覚。

この楠木正成像、現代のフィギュア作家が製作したと言われても納得してしまいそうなほどに、厨二病的な勇ましさがみなぎっている。嫌いじゃないよ、こういうの。尊皇思想のシンボル、という捉え方はあまり好きじゃないけど。男が男に忠義を誓った。その相手が天皇であったということは僕にとってそれほど重要なことじゃない。

後醍醐天皇への忠義を貫き、足利尊氏の圧倒的な戦力の前に死を賭して望んだ悲劇の武人、楠木正成。「楠木の旦那ぁ、あんた漢（おとこ）だよ」と何故か上から目線で語りかけてしまいそうになる。

外国人観光客が沢山いたけれど、彼らはこの銅像にどんなイメージを抱くのだろう。