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「世界一流エンジニアの思考法」を読んで③ 中抜き仕事に洗脳されてはいけない

今回で、この本から学んだことを記すのは3回めになります。実にたくさんの示唆があり、もっとお伝えしたいのですが、キリがないのでこれで終わりにします。
最後の章がとっても参考になります。

日本再生への道すじ

というタイトルです。

"日本の産業はやはり根本的に「ソフトウェア」を甘く見てきたのではないだろうか”
"個別にみれば、日本でも世界に通用するレベルの素晴らしいエンジニアはたくさんいるが、平均レベルで言うと、今やうヨーロッパと比べても低い。とくに大手の低迷感が否めない。その大きな理由は「自分でやらないから」だと思う。
"「プログラミング」を低レベルの人がやることと見なして外注し始めたことが、日本の大手SIer衰退の分岐点となってしまった。
"経営的な視点で見たとき、「マネジメント職」というのは多くの人を動かしてレバレッジを利かせることができるので、投資対効果が大きく、すごく仕事ができるように見えるかもしれないが、実際作るのは手を動かす技術者だ。ノウハウの蓄積も最新の知見も前線のエンジニアたちの頭脳に集まる。海外のテック大手のCEOがみんな技術畑出身なのは、そういう現場的な鼻が利くことが意思決定に有効に働くことが増えているからに他ならない。”
”AIが日進月歩で進化を遂げる時代、今日本が早急にやるべきは、「自らの手で一流のソフトウェアを開発する力」を付けること。そして、失敗しながらでも「世界の市場に挑戦する」ことだ。"

同上

僕は、この文章を読んで、自分がエンジニアと一緒に仕事をした2010年のことをすぐに思い出しました。マレーシア人のエンジニアで一緒にデジタルマーケティングのプランを立案して、東南アジア各国で展開している日本企業に提案する仕事をしていました。彼と会った時に聞かれたのが、「マサヤは何ができるのか?」という根本的な問いでした。僕のその時の名刺のタイトルはPlannerです。彼からすると,Plannerって何をするのか?という当然の疑問が湧くわけです。でも、平易に自分がやってきたことを説明しようとすると、とどのつまり、外部の協力会社に、デジタルコンテンツを制作してもらったり、グラフィックデザインを作ってもらったりして、顧客に提案して、受注して、受注後は、あれこれ作業はするけれども、結局手を動かすのは外部の専門の人たちで、自分は結局「ただの中抜き業者の社員」だということがはっきり見えてきたのです。その時の衝撃は、忘られません。僕だけでなく、日本の多くの産業で、中抜きが常態化していて、本当の本当は、自分は何もしていない、と言うことに気づかないような装置が企業の内部に仕組まれていて、多くの会社員はそのことに気づくのは、会社から去った瞬間という悲劇に見舞われる、という将来がはっきり見えました。彼との出会いから仕事の基本原理を変えることにしました。自分でできることを一つでも多く増やしていき、出来うるならば、どこの国に行っても、飯食べていけるようなスキルにしていこうと誓いました。今から十数年前の話です。あの時に、そのことに気づいて命拾いしたと思ってます。その記憶をこの文章は思い出させてくれました。

そして、この章の後半に、まさに僕が膝をうってしまうような文章がはっきり書かれてました。

自分の人生は自分でコントロールする


"自分の人生が、自分で決められないと思っている人があまりに多い。”
”海外チームにいて感じる日本の会社との一番大きな違いは、「不幸そうな人がいない」ということだ。みんな楽しそうに、人生と仕事をエンジョイしている。どいうやったら自分の人生が幸せになるのかを主体的に考えて、仕事の仕方を「選択」している。”
”最後に皆さんに伝えたいのは「自分の人生や幸せに責任をもって、自分でコントロールする」というマインドセットの素晴らしさだ。

同上

本当にそう思う。十数年、世界各国のスタートアップと仕事してきたが、ファウンダーだけでなく、そこで働く社員も果敢にリスクを取って、小さな、先がどうなるかわからない会社で、経験を積み、そして、やがて多くの若い社員たちが大企業の要職についたり、起業して成功したり、本当に豊かな生活をしているのだ。僕は、そう言う彼らに常に刺激を受けながら、職人として世界の市場で働ける方法を探り続け、平凡な自分でも楽しく仕事人生を続けられる方法を編み出せたので本当に良かったと思っている。

非常に示唆に富む書籍でした。著者の牛尾剛さんに感謝します。



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