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何やらちょっと面倒な、名字の件(前編)

やっと、手続きしてきた。
住民票に旧姓を併記したのだ。
(そのまんま、「旧氏(きゅううじ)併記」という)
住民票だけでなく、希望により保険証やマイナンバーカード、免許証などにも記録できる制度だ。

いろいろ隠してるので見にくいかも。上が保険証で、「新姓 旧姓 下の名前」の表記。
下はマイナンバーカード。氏名は新姓で、下の備考のところに「旧氏」として追記されています

↓詳しくはコチラ

ずっとほおっておいた割には手続きが簡単で、

①戸籍謄本をとり
②住所変更などを扱う窓口(自治体によって違うと思われるので確認を)に提出して手続き依頼

で終了。
(持っていれば)マイナンバーカードと保険証は、同じく自治体の役所でできる。
免許も変えたければ、警察署へ。


ふう……ずっと気がかりだったので、ひとまずスッキリ。

私は自営業で、旧姓で仕事をしている。
結婚して姓を変えたけれど、病院と、税金関係の手続きの時しか新姓を使ったことがない。
学生時代からの友人も、仕事でご縁ができた方々も、「渡辺清乃」という旧姓フルネームを認識してくださっている。
新姓であいさつしようものなら、「誰それ?」となる。いや、私が「誰それ?」ですよ。
「渡辺清乃」さんは、生まれてからずっと一貫して「私」を指し、「私の歩んだ人生とその足跡」を束ねる名称なのである。


……という私がこの手続きをした理由は、たったひとつ。

各種手続きが面倒だから。

実は、過去の結婚で、公私ともに新姓に変えたことがある。
(今の夫は再々婚)
後日離婚したので、とにかく、各所への訂正に苦労した。
取引先、銀行、保険、免許証……今も聞くのかわからないけれど、当時は電話をするたびに「差支えなければ、変更の理由を?」と聞かれた。
「離婚です」と答えた時に、お相手の声にならない「あ」と、私の気まずさが呼吸の間をつくる。
お取引先ならまだしも、保険会社さんには、(察してください~‼)と心の中で手を合わせたものだ。
という経験を経て、「私を認識できる、変わらないもの」を持っておくことが重要だと思ったのだ。旧姓は、その代表だ。
だから、自分の旧姓を公的に証明する書類が、欲しかったのだ。

……とはいえ結局、公的な手続きに旧姓は使えないんだけどね。
たとえば税金関係なら、ビジネスは旧姓でやっているから書類は旧姓、だけど銀行は新姓でないと手続きできないし、名前が不一致だといちいち問い合わせが来るのだ。
えっと、同一人物です……。と、毎回ちょっぴり悲しくなる。
公的書類で旧氏表記をすれば、多少は、その説明の手間が省けるだろう。(と期待)

そうそう。
学生時代にちょっと良い印鑑をつくって、それをずっと使っているのだけれど、当時はなんとなく、下の名前でつくったのです。
それがのちに私を大いに助けてくれることとなるなんて、当時は露ほども思わなかったぞ。

というのも、銀行印やら実印やらすべてそれなので、姓が変わった時に面倒な手続きがなくて済んだのだ。
これから新しく印鑑をつくる方へ。
男女問わずぜひ、下の名前でつくることをお勧めします。
(印鑑を押す場面もかなり減ってきましたけどね)

****

それにしてもこの「結婚して姓が変わる問題」は、かなり議論されているけれど、選択的夫婦別姓はいまだ保留のまま。
日本では慣習的に女性が男性の姓に変えることが多く(うちもそうだ)、姓が変わったことによる、女性からの不満の声は多様だ。

たとえば私のように、
「んもう、とにかく手続きが大変!戸籍(や住民票)の名前と普段使っていて広く知られている名前だったら、戸籍が優先なんて!同じ人間なのに」という声。
「新姓にどうしてもなじめず、自分のアイデンティティを失ったようだ」という声。
旧姓を名乗ることを禁止されている職場もまだまだあって、これはなかなかに悲惨。

たとえば研究者の場合、旧姓時代に書いた論文と、新姓になってから書いた論文が、同じ人が書いたものだと紐づけることができないそうだ。キャリアの断絶が起こってしまう。なぁんと!

伝統的な企業に勤める、離婚→再婚した友人はカオスだ。

①     旧姓◎◎で仕事→新姓●●で仕事(この時間が長い)
②     離婚して旧姓◎◎に戻る(この時にメールの署名を『◎◎(旧姓)/ビジネスネーム:●●(離婚した人の姓)』としていた彼女。『◎◎って誰??』となる人がいるから)
③     再婚して別の新姓に(現在のメール署名は『△△(再婚した人の姓)/ビジネスネーム:●●(離婚した人の姓)』)

「いつまで●●を引きずらなきゃいけないのだ!」と、他人事ながらなんとも腹立たしい。

とはいえ、子どもができたらその姓はどうするのだ問題など、別姓制度が進まないには理由がある。ということで、chatGPTさんと軽く雑談してみた。

ターッと8項目あがってきて、おおよそ想定できる答えだったのだけれど、一瞬、ん??と思ったのが以下6番。

キャリアコンサルタント(私の仕事)的に、これはアカンやつです。
未だにこんなこと、あるのかなあ……
けど、悲しいかなこの世の中、可能性は0%とは言えないな。

私も含めてだけれど、人のモノの見方や考え方は、無自覚な無意識層から発動することが多い。「偏見」ってそういうものだ。
良い、とはまったく思わない。繰り返すが、アカンやつだ。

*****

さて。今回の旧氏併記。
私の場合は「手続きが面倒」「同一人物だと証明するのに証明資料(免許、保険証、パスポートなどなど)が複数必要なのが毎度うんざり」を解消したくて行ったけれど、そもそも、

名字ってなんだ?
なんで、結婚したらどちらかの姓に揃えることになってるの?
しかも、慣習的に女性が男性の姓に合わせているのはなぜ?

などを知りたくなった。調べた結果、簡単に言えば、

1)日本の歴史において、名字が生まれてから1000年くらい。その間「名字」は、「ステイタスや特権」から「識別符号」に移り変わった
2)明治維新の「家」制度が第二次大戦後に廃止されたものの、令和の今なお、慣習的に残っている

がポイントになる。
まあ、2の話は夫婦別姓の話題でもちょこちょこ出てくることなので、ご存知かとは思うけれど。

長くなるので、続きは後編へ。

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