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とんがったモチーフ

ブランドには「とんがったモチーフ」が欲しい。
「とんがり」とは、ぼくの造語だ。
昨夜名古屋でおじゃましたフレンチレストランが素晴らしかった。

まず、入口が普通じゃない。

わかりづらい、というのではなく、ドアが開いた途端、異空間。

カウンターだけ、ぼくたちが最初のゲストだったので、端っこに案内される。

メニュー。

最初の1行。「海と大地・贈り物の盛り合わせ」
これがすごい。出るわでるわ、どんどん出てくる。
11品。

とても一枚には収められなかった。

ドリンク、最初の一杯は生ビールをお願いし、あとはワインのペアリングにしていた。シャンパンと白2種類、それぞれ料理に合わせて。
たしかに同じ白でも重さが違う。

ソムリエが「大阪のおっちゃん」という感じで、お互いボケたりツッコミ入れたり。
シェフも気取らず、料理の解説をしてくださる。

ここは、エンタテイメント×フレンチをコンセプトにしている。エンタテイメントには、「センス・オブ・ワンダー」、驚きも入ってる。

「ウワー」という声があちこちから聞こえてくる。

経営的に言うと、カウンターだけというのは、人件費を削減できる。フロアがあると、そこに1人あるいは2人つかなければならない。その人件費分、食材の原価に充てられる。つまり、「良い食材」を仕入れられる。

コース中心で、アラカルトなし(オーダーできるけれど、基本、何らかのコースを予約時にお願いするシステム)だから、食材ロスがない。これも原価に有利だ。

つまり、メニューがない、ということであり、もしメニューがあると、そこに載せている料理の食材は用意しておかなきゃならない。売れなかったら、ロスになる。だから一般的な店は定価にロス分を載せている。

ぼくたちが座ったらすぐに料理の皿が出てきた。これは営業前に準備し、冷蔵庫に入れておけば良いわけで、オーダー受けてから調理する必要がない。

最初の皿がたくさん出てきた、ということは、それを食べる時間がそれだけかかるわけだ。その間に二品目を準備できる。

つまり、「最初の一皿」で勝負が決まっているのである。

そして、最後、「お菓子のなる木」が出てくる。

もうお腹いっぱいになっているから、とうてい食べられない。

「お持ち帰り用の箱をご用意しております」

こうして、これらのお菓子はぼくの今朝の朝食になったのである(笑)

ぼくは出張先だけど、一般的には自宅に持って帰る。お土産だ。

自宅で今日のことを家族に話す。

「うわー。行きたい!」
「じゃ、今度行こうね」

リピーターが誕生する。

この、リピートを生み出す余韻を具体的に形で用意しているお店を初めて見た。すごい商人(あきんど)だ。

ということで、このお店の戦略分析をしたのが、こちら。

WTPとは、「いくらなら払うか」

講義では細かく解説するのだけど、ここでやっても皆さん退屈なだけだと思うので、略しますが、大事なのは、「シェフの意志」がすべての出発ということです。

コンセプトの前に、構成要素の前に、1番大事なのがシェフの意志であり、これがとんがりになっています。

勉強になりました。
ごちそうさまでした。
ありがとうございます。

また行きます(まんまとお店の思うつぼやん(笑))。

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