全自動統治

「国民総不労。
国民は不労を憲法で保証されています。
"向こう側"では未だに市民が働いていますが、この国では多くの作業は人工知能を持った機械に任せています。
こう言うと、人間の手が必要な整備などの仕事は誰がしているのかと疑問に思うでしょうが、そういった労働に当たる行為は受刑者の懲役になります。
新しい設備の開発や製造も機械自身が自立してやっていますからね。

いやはや、"向こう側"は遅れていますよ。
我々は何もせずに、何も考えずに配達される食料を毎日食べて、毎日洗濯される衣服を着て、週に一度自動清掃される家に住む。
消耗品も全て自動配達です。
そして、昼は適当に散歩をして、夜は国が流すチャンネルでもぼうっと見てから寝ればいいんです。
あとは、何も余計なことは考えずひたすら余生を過ごしましょう。
疑問を感じたら結局働くことになりますから。」

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