無知と感動

小学校の頃の僕を見て思うことがある。
フカマル欲しそうな顔しているねえ。
だけどあの入り口から行っても出てこないんだよなと。

これに関しては、共感してくれる人とそうでない人がいると思う。
そもそもフカマルとは?と思うかもしれない。
もしそう思っている方がいるのであれば、フカマルを調べないでください。
なぜなら、その方にとってどうでもよい情報だと思いますし、今後、人生のターニングポイントで出くわすこともないでしょうから。
逆にフカマルを知っている方なら、ポケモンのダイパでフカマルどこおんねん事件の被害者になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

僕がポケモンシリーズを初めて遊んだのは、「ポケットモンスター パール」だった。
ポケモンの仕組みを知らない僕は、ナエトルばかりで勝負を挑み、ドダイトスLv.85ぐらいと、パルキアLv70ぐらいで殿堂入りしたのを覚えている。他のポケモンを育てるという概念が無かったのだ。
あいつらポケモン5,6体持ってんのずる!と思い、チャンピオンロードにいたゴローンとかを仕方なく連れて行っていた気もする。何回も挑んで、一応クリアした。

キッサキシティのジムどうやってクリアしたねん!
と思う方もいるかもしれない。しかし覚えていない。多分ドダイトスでごり押ししたんだと思う。「タイプ」という概念さえも、「パワー」でごり押していったのでしょう。
小学校の頃は結構脳筋だったと思う。

そして脳筋少年は、シロナの使うポケモンと出会うのだ。
ガブリアス、ミロカロス、ミカルゲ。
目をきらつかせた少年はこいつら欲しいと思うのだ。

マップで生息地を確認する。
ミカルゲ。生息地不明。は?
ミロカロスの進化前。ヒンバス。テンガンザン。よし。
ガブリアスの進化前。フカマル。迷いの洞窟。よし。

ミカルゲはさておき、ミロカロスよりもガブリアスのカッコよさに惹かれた僕は、迷いの洞窟から行くのである。
迷いの洞窟。脳筋少年を困らせた最大の洞窟。
まずフカマル云々の前に、洞窟内は異常に暗いのでフラッシュが必要なのだ。
しかし、脳筋少年。フラッシュを使わずにフカマルを探し続けるのである。
そして何時間後、フカマルは出てこないわ、出口はわからないわでイライラし始める。
しびれを切らした僕は、初めてレポートを書かずに電源を消した。
それ以降はフカマルを断念し、ヒンバスも一向に出てこないので、ドダイトスとパルキアをLv100にして、エメラルドをプレイすることになるのである。

小学校の頃の僕はピュアすぎた。
Wiiのマリカーでルイージサーキットの地面なくなるんじゃないかと思うくらいタイムアタックしましたし。
ドラクエ5は、どうやってもブオーンが倒せなくて、初めてクリアしなかったゲームでしたし。
ウイイレとイナズマイレブンのせいで、最強のフォーメーションは何かと考えたところ、小6の時の先生にオタクと言われましたし。

こんな感じでゲームを最大限に楽しみ悔しがり、心を動かしていたのだ。

しかし、小学校の僕を「情報」と「チート」が汚染していくのである!
インターネットとコードフリークは、僕の感動を汚染してしまった。

そう。フカマルとヒンバス、更にはミカルゲまで捕まえ方を知ってしまいましたし。
なんならコードフリークで捕まえたいポケモンを201番道路で捕まえることができましたし。
もっと、もっとと、目を赤くして興奮と快楽を求めてしまったのである…。
ゲームが、「求めるものを手に入れる作業」と化してしまった。

そう思うと、無知というものを簡単に解決しなかったから、楽しさや悔しさという心躍る感動を生み出せたのかもしれない。今でも覚えている記憶なのかもしれないと思ってしまう。

高校生。大学生となった僕は、効率よくポケモンを捕まえ、まんべんなく育て、フカマルも簡単に捕まえることができた。シャイニングパールでは、手持ちポケモンがドダイトス、ガブリアス、トゲキッス、ヘルガー、ジバコイル、ルカリオといったゴリゴリのメンツでして、レントラーとムクホークがいないと、かわいげないなとつくづく思った。
ルイージサーキットなんて、僕の出したタイムよりも早い人がYouTubeにわんさかいましたし。ドラクエ5もネットの攻略法を頼ってクリアした。
そこに感動はあるかもしれないが、自分の心が躍るものではないと思う。作業だからだ。
クリアや解決方法が保証される作業であるからだ。

そんなこともあり、ゲームを楽しめず、途中でリタイアすることが多くなった。
Switchを買ったものの、あつ森やゼルダ、シャイニングパールは全クリしていない。
ps5でもドラクエ11やニーア、FF7のクライシスコアは全クリしていない。
何でこんな飽きんのかなという理由が分かった。作業だからだ。

フカマルが僕の心を魅了してくれたのであれば感謝しなければいけない。ありがとう。
そして思う。作業というものをやめようと。

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