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「土の話」から感じた自然界の循環と自分が生きる世界

 初めてのニンジン収穫体験を終えて、少し時間に余裕があったので農家さんから畑案内がてら土の話をしていただくことになりました。有機農業では土作りが大事というのは知っていましたが、その真意は分かっていないし、そもそも野菜が育つ過程についても知らないことだらけ。

 ただ、その場で食べたニンジンの美味しさや丹後滞在中に感じた食の豊かさは自然環境や土の影響が大いにあるんだろうと思っていたので、畑の話や土のお話を興味津々に聞きます。訪れたのが1月だったのでニンジン・大根・ごぼうといった根菜類、水菜や高菜などの葉物がビニールハウスに植わっていて、歩きながらお野菜の色々を話してもらいました。

 畑をゆっくり歩くことも、植わっている状態の野菜を見ることも、大阪に居たら経験できないので楽しかったし、あれこれ質問もさせてもらい丁寧に回答してもらう時間。最後にたどり着いた場所が土の山がいくつも作られている場所。

 「土ってどうやってできるか知ってる?」農家さんからの質問を投げかけられます。「え?土??その辺にあるくらいのものだと…」回答に困っていると「そうだよね、普通は知らないよね」と受け止めてもらってから、お話をしてくれました。

 土は枯れた落ち葉などの草木が様々な昆虫や微生物に分解されて出来あがるもの。そのスピードはゆっくりで5年~10年くらいかかる。落ち葉を昆虫が食べてフンとして出し、そのフンをまた別の昆虫が食べ次の分解者へと繋がっていき最後は微生物により分解がされる。様々な分解の過程があるから、栄養素も豊富になって土に戻る頃は野菜が元気に育つ土になっている。

 ざっくり言うとそんな説明をしていただきました。土ってそうやって出来るのかと受けた衝撃。目の前に積まれている土の山は膨大な時間をかけて分解された結果で、分解中の枯れた草木の山も見せてもらい納得。まだ数年しか経っていない草木の山は、シワシワになって黒ずんでいて分解途中という感じで、土になりそうな山は外観は草木だけど少し掘るとバラバラと形が崩れて土になり始めている。

 「すげー世界だな」と思ったと同時に「めちゃくちゃ自然界って効率的なんだ」とも感じました。役目を終えた草木は土に返り、他の植物の栄養となって循環していく。当時、IT企業で時間や成果効率を求められて働いてた自分となんだか重なって、決定的に違うのが時間の流れる速さ。ゆったりと流れている自然界だけど実はめちゃくちゃ効率的な循環が行われているし、それが人の心や身体も元気にしている気がしました。

 土の山の中には、枯れた草木に混じってたまにゴミもあります。空き缶やプラスチックのゴミ。これらは何年経っても分解される残っています。人間が効率を求めて作ったものが自然循環に入っていない状況を見て、余計に考えさせられます。

 「自然界からすると今の働き方ってどうなんだろう?」なんだか分からないけど直感的に今の生きづらさを紐解くヒントが自然界にある気がする。復職してからのしんどさ、移住検討する中で求めていたこと、色々なことが重なり始めて、気持ちが熱くなっていきました。

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