そろそろ「インフレ=悪」というのをやめませんか?(その1)
インターネット、テレビ、新聞、雑誌において「インフレは悪いもの」という論調の説明が多いように感じます。この説明は基本的に間違っています。
マスコミは話を大げさにするのが仕事だから仕方ない面もあるでしょう。しかし、実際は一般消費者をミスリードしているだけです。
今回はインフレと賃金の関係について書いてみます。
・インフレとは
まず、インフレには良い・悪いの概念はありません。
「消費者物価が上がるか・下がるか」を示す指標「消費者物価指数(CPI)」が前年比で上がるとインフレ、前年比で下がるとデフレという。それだけの意味しかありません。
CPIが上昇すると企業の売上、利益が増えるから、労働者の賃金は上がります。
CPIが変動しなければ企業の業績も変わらないから、労働者の賃金は上がりません。
ただ、それだけのことです。
インフレがある場合とない場合をイメージしてもらうために、図で説明してみます。
【図表1:インフレと賃金の関係】
年率10%のインフレ率がある場合、物価と賃金は図表1(上段)のようになります。
物価が10%上がった後、少しタイムラグはあるものの賃金が10%上昇します。
ここでのタイムラグは年単位で発生するため、賃金上昇がインフレに追いついていない(実質賃金上昇率がマイナス)期間、国民の生活は苦しくなるでしょう。
一方、インフレがなければ物価も賃金も変わりません(図表1(下段))。
マスコミが執拗に「悪いインフレ」と言うのは、物価上昇から賃金上昇までのタイムラグが国民生活を苦しめる、という理由を根拠にしています。
でも、少しすれば収束するのだから、目くじらを立てる必要はないはずです。
インフレがあれば、そのうち賃金は上がります。
インフレで儲かった企業に賃金アップの圧力を掛けるのが、政府や労働組合の仕事です。
もし賃金が上がらなかったら、政府や労働組合が本来の役割を果たしていないわけです。
<その2に続く>
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