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日本の出生率は世界と比べて低いのか?(その1)

日本の人口減少の主要因は「少子化」と言われています。今回は日本の少子化が世界の国と比べてどうなのかについて書いてみようと思います。

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まず、図表1は国別出生率(女性1人が生涯何人の子供を出産するかを示したもの)のランキングのうち、上位10位までの国、先進国、アジア諸国を抜粋したものです。

【図表1:国別の出生率】

出所:世界銀行

国別出生率ランキングの第1位はニジェールの6.82人です。
2位以下はソマリア、チャド、コンゴ……と上位10位までアフリカ諸国が占めています。このランキングからアフリカの出生率の高さが際立っていることが分かります。
つまり、アフリカ大陸は絶賛人口増加中なのです。

ちなみに、このランキングの上位10位には入っていないものの、中東も出生率が高い人口が増加しているエリアです。

先進国の出生率はフランスが112位で1.83人、アメリカが133位で1.66人、ドイツが147位で1.58人、イギリスが152位で1.56人です。イタリア、スペインは184位(1.25人)と185位(1.19人)なのでさらに低い。
先進国の出生率は2を割っているから、自然に人口が増えません。

次に、アジアを見てみましょう。東南アジア、南アジアの出生率はフィリピンが70位で2.7人、インドネシアが95位で2.17人、インドが101位で2.03人となっています。この辺りまでが人口が増加している国ですね。
マレーシアの出生率は1.8だから既に人口減少過程に入っています。さらに、タイは1.3だから人口減が深刻な状況にあります。タイは発展途上国と思っている人もいるでしょうけど、既に高齢化が深刻なのです。

特に日本を含めた東アジアの出生率は極端に低い。ランキングの抜粋の最下位付近はほぼ東アジア諸国です。
日本の出生率は183位で1.3人、中国が186位で1.164人、シンガポールが189位で1.12人、韓国が191位で0.8人、香港が192位で0.77人です。
中国は1979年から2014年まで実施された一人っ子政策によって出生率が低かったのに加えて、近代化してからは教育費が高くなって子供の数が増えなかったのです。中国は日本よりも深刻な高齢化問題を抱えています。

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出生率は1人の女性が生涯何人の子供を産むかを表しているから、2人未満であれば人口が減少することを意味します。この点から、インドが辛うじて人口を維持しているものの、全ての先進国、アジア諸国は人口減少過程に入っているといえます。

出生率が低いのは日本だけではないのです。

<その2に続く>

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