未来2023年5月号詠草『東京を生きる』
未来2023年5月号詠草『東京を生きる』 風野瑞人
占いを頼みに展望台にいる なぜコンパスは北ばかり指す
高層のガラスの向こう雄弁なハラスメントのパントマイム
傘もなく歩くしかなくそれはもう確信犯のアスファルトの道
ヒーローを描けばよかった時は過ぎ街の終わりが頬を撫でる
夜が降る サタンが嗤う 東京の隠れたさびしさたちを齧って
酔いどれのピエロのようなネオン浴び生きていくのか 涙も枯れて
もうすっかり凪いでしまったこの都市でポリエチレンが今日も舞ってる
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