20240403

 雨の降る一日。今年は雨が多い気がする。水不足の心配はないだろうが、雨の日は気が滅入る。マリア・シュラーダー監督の米映画『SHE SAID』を観た。ハーヴェイ・ワインスタインによる性加害の実態を追及したニューヨーク・タイムズの取材裏を描いた作品。この報道を機に、#MeToo運動へと繋がる後世に残る事件となった。当のワインスタインは二〇一七年に逮捕され、現在も収監されている。
 真の報道の在り方について、ジャーナリズムの真髄を改めて思い知らせてくれる作品だった。と同時に、これが史実に基づいているということが信じられないほどに不条理である。日本でもジャニー喜多川、松本人志などの長きにわたる性加害の実態が明るみになったのは記憶に新しい。しかし、未だに性被害を訴えることはかなりハードルが高く、実際にSNSなどで二次加害も行われている。被害者が声を上げるまでにどれほどの葛藤と苦労、そしてその声が握り潰されてきたか、実際にジャニーズ問題も、伊藤詩織さんの元TBS山口敬之記者による性加害もBBCなど海外のメディアが取り上げるまでは文春くらいしかまともに報道してこなかった。日本のメディア関係者やSNSで被害者を揶揄するような人間には、ぜひこの映画を観てほしい。

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