20240213

 ブルーベリーが青く見えるのは、青い光を反射する「構造色」が要因であることが発見されたというニュースを読んだ。英ブリストル大学の調査によると、表皮面を構成するワックス層が青い光を散乱させる微細構造でできていることが明らかになったという。ブルーベリーには赤い色素しか持っておらず、わたしたちが見ている青は光の反射によるもので、実際にそこにあるブルーベリーの実は青い色素など持っていない。そもそも人間の視覚が認知できる光彩も限定されているので、赤外線などは見えないわけだけども、青いと名付けられたものが青くないというのはとても違和感がある。哲学的命題で、「自分が認識する赤色と他人が認識する赤色が同じであることを証明することはできない」というものがある。人間の認知能力以外にも、文化や環境や心象など様々な要因で「赤色」は決定されることから、どこまでも人間は主観によって事象を判断し、真の意味で客観というものは存在しないというのだ。いま読んでいる西田幾多郎『善の研究』(岩波文庫)でもこのことは述べられている。

自然は一見我々の精神より独立せる純客観的実在であるかの様に見ゆるが、その実は主観を離れた実在ではない。いわゆる自然現象をばその主観的方面即ち統一作用の方より見れば凡て意識現象となる。

西田幾多郎『善の研究』(岩波文庫)p.128

 だが、この青くみえているブルーベリーも青くはない、と知ってしまったわたしはそこにこれまで見た青への疑念を抱くことになる。その心象はわたしの認知を歪めはしないか。

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