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新規事業成功のカギ ~インパクト思考で重要なステークホルダーを巻き込む~

はじめに

新規事業の成否を分けるカギは何でしょうか?

新規事業の成長の道のりは、ひとつのアイデアから始まって、人・モノ・カネ・情報などの資源(リソース)を獲得していきながら、次々と仮説を立てて検証していくプロセスです。
事業が成長していくにつれて必要なリソースの種類も量も増えていきます。新規事業の成長スピードは、リソースをいかに上手に獲得できるかにかかっています。
リソースは、新規事業チームの外から獲得してこなければなりません。その際には、関係者(ステークホルダー)から新規事業に対する理解を得て、事業に協力してもらう必要があります。

新規事業の成否を分けるカギは「いかに上手に関係者(ステークホルダー)からの協力を獲得できるか」にあります。
そして、インパクト思考は、そのステークホルダーの巻き込みにおいて大きな力を発揮します。今回は、なぜ新規事業においてステークホルダーの巻き込みが難しいかについて述べつつ、その壁を乗り越えるために「インパクト思考を活かす方法」についてご説明します。

新規事業においてステークホルダーから協力を得る難しさ

新規事業の推進を担われる方は、さまざまな課題に直面します。
その中でも「ステークホルダーから協力を得ること」は、新規事業を推進し、成功させるために必須のことですが、なかなか思うようにいかないというお話をよく伺います。

新規事業においては、重要なステークホルダーが事業の成長過程で変化していくこと、そしてそれぞれのステークホルダーの関心事が大きく異なっていることなどの特有の難しさがあります。
例えば、大企業のなかで新規事業を始める場合、初期の重要ステークホルダーは社内の経営層や、他部署の意思決定者となるでしょう。
事業が順調に立ち上がって、いざ事業拡大というフェーズでは金融機関や、協業パートナー企業が重要ステークホルダーになっていきます。

新規事業の推進者は、それぞれのステークホルダーの関心に沿った説明を行い、理解してもらい、共感してもらい、さらには協力してもらう必要があるのです。

ステークホルダーから充分な協力を得られない原因

ステークホルダーからの充分な協力を得ようとした場合、彼らに事業に「共感」してもらい、その事業を「他人ごと」ではなく「自分ごと」と捉えてもらう必要があります。

しかし、新規事業への関与が少ないステークホルダーにとっては、ともすれば、その事業は自分には直接関係のないことと捉えられてしまいます。
市場規模、ターゲット顧客、顧客のペインなどのビジネスモデル上の情報は、事業を企画・推進していく時に誰もが調べ、整理することと思いますが、こうした情報だけでは、重要なステークホルダーから充分な共感を得て「自分ごと」として捉えてもらうのが難しいことが多いのです。
その主な理由として、下記が挙げられます。

  • 新規事業が、自分や自分の大切なモノ・コトにどのように関係するのかわからない

  • 新規事業をリードする人物の情熱が理解できず、共感が持てない

こうした状態は、事業の設計に「インパクト」という考え方を採り入れることによって解決することができます。

インパクト思考の成り立ちと特徴

インパクト思考とは、もともとパブリックセクター(行政)やソーシャルセクター(非営利組織)で用いられてきた考え方です。
こうした業界では、活動資金を確保することに課題のある事業が多く、限られた資源で活動を行う必要があるため、「ステークホルダーからの共感・協力」が一般企業以上に重要となります。
また、公共性を重視する組織の性格上、特定のステークホルダーの意向に偏ることなく、多様なステークホルダーからの「共感」や「協力」を得られる世界観を打ち出す必要があります。
「インパクト思考」は、こうした状況に対処するための手法としても活用されてきました。

インパクト思考を用いた事業設計では、まず、その事業が目指すゴールを明確かつ具体的に設定します。
そして、そのゴールを実現するための途中経過となる道筋を「アウトカム(※)」の形で整理し、そのアウトカムを実現するための活動をロジカルに整理します。
さらに、事業が目指すゴールと、会社全体が目指すものやビジョン・ミッションとの関わりについても整理します。
この過程で、重要なステークホルダーが誰で、事業に何を期待しているのかをあわせて整理し、事業のゴール設定との整合性を確認することで、ステークホルダーに対して説得力を持つ説明の仕方が明らかになります。
また、理想とする未来を実現する途中過程で必要となる「計測可能な指標(インパクトKPI)」も明確化され、事業推進の途中段階では、ステークホルダーに売上や利益以外の数値を用いた進捗共有もできるようになります。

※アウトカムについては、こちらの記事を参照ください。

インパクト思考を用いると、なぜステークホルダーから充分な協力が得られるのか

インパクト思考を用いることによってできるようになることを改めて整理すると、以下のようなことが言えます。

  • 事業がどのような社会変化をもたらすのか(どのように社会に貢献するのか)が明確になる。企業のミッション、ビジョンやマテリアリティと、事業の関係が明らかになる

  • 重要なステークホルダーが事業に期待することと、事業が目指すこととの整合を確認しつつ、ステークホルダーから見て魅力的な事業設計が可能になる

  • 財務指標以外の、計測可能なKPI(インパクトKPI)が設定でき、そのKPIに基づく事業の進捗管理が可能になる

  • 上記を用いることで、重要なステークホルダーに”刺さる”事業アピール、インパクト面からの事業進捗の説明が可能になる

結果、ステークホルダーからの共感を得られやすくなり、「自分ごと」として事業に関わってもらいやすい体制を作ることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
新規事業を成功させるカギは、「必要なステークホルダーを巻き込む力」とも言えるかと思います。
もちろん事業の推進者の情熱や根気強さも必要だと思いますが、その情熱にロジックや巻き込まれた人の協力が加わると、更に事業を推進しやすくなるのではないでしょうか。

当社サービスやインパクト思考による事業設計や指標設計に興味をお持ちになってくださいましたら、こちらのお問い合わせフォームよりご連絡ください。

皆様の新規事業の成功を祈って。

さらに知りたい方のために…

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