見出し画像

27. 英検1級二次試験受検記(2023年度第2回)

 過日、英検1級二次試験の面接を受けてまいりました。
 毎度ながら、次回の受検に備え、備忘録がてら状況を記します。
 偶然、ここにたどり着かれた方々にとって参考になる情報がかけらでもあれば幸いです。
 ないかもしれませんが…。


1.会場到着

 不合格時の受検を含め、1級二次試験4回目で初めて午前の受付でした。
 当初の予定は、集合時間よりかなり前に会場近くに行き、カフェで勉強しようと思っていました。
 しかし、家の出発が遅れるという朝の身支度あるあるによって、カフェでの滞在を見送り、試験会場建物内でなんとか時間をつぶそうと思い、会場に直接向かいました。
 会場到着は、受験票に記されている集合時間より40分ほど早め。
 それでも、受付可能でした。
 以前は、「集合時間=受付開始時間」ということもあったので、即時受付に少し驚きましたが、待機室内で過ごすことができるので感謝いたしました。
 早く受付を済ませることができれば、心落ち着かせる時間を長く確保することができます。
 受付では身分証明書の提示は必要なく、一次試験の時の受験票と二次試験の受験票のみの提示で済みました。
 その後、英検独特の、携帯電源切ってポン袋を頂戴し、電源を断ってスマホを袋に封入したうえで、エレベーターに乗り、待機室のあるフロアへ向かいました。
 ちなみに、ストラップの色は蛍光の黄色でした。

2.待機

 受付付近での掲示で気がついたのですが、私に示された集合時間よりももっと前に集合を課せられている受検者がいらっしゃったようでした。
 エレベーターを降りてから待機室に向かうまでの経路の途中にある教室では、すでに面接試験が始まっており、廊下には待機されている方々が座っておられました。
 中には、教室がガラス張りであるところもあり、これまた驚きました。
 面接官からは廊下が丸見え状態で、他人事ながら採点に集中できたか心配です。
 待機室は、100名ほど収容可能な大教室で、私が到着した時点で40名ほどが待機していらっしゃいました。
 間違いなく、私より前の時刻に集合を課せられていた人たちです。

 教室に入ると、私はすぐにトイレに行くことにしました。
 前回の受検記でも記したのですが、携帯を収納する袋は表面ツルツルなのに、その面に自らの受験番号をペンで書かないといけないのです。
 私は意を決し、手持ちのジェットストリームで表面に触れると、意外に、普通にインクが付いてくれました。
 今日はそれを伝えるがためにnoteを記したと言っても過言ではありません。
 トイレを済ませ、教室一番前の自席に戻り、悪名高い面接カードへの記入を行います。
 悪名高い、と言いながらも、数年前に比べると、紙質もよくなり、また、1枚目と2枚目が容易に離れなくなったので、天国と地獄ほどの差があり、隔世の感があります。
 面接カードへの記入を済ませると、何もせず、心を鎮めることに集中しました。

3.呼び込み

 40分ほど自席で待っていると、係員の方から面接会場となる教室前に案内され、廊下で待機しました。
 面接が行われる教室の前には、私より先に1名の方が椅子に腰かけて順番を待っていました。
 ちょうど、面接官皆様の休憩時間ということで、面接再開まで、さらに20分ほど待ちました。
 前の方の面接が終わるのを待っている間、廊下で背伸びやストレッチをして、心身を落ち着かせるよう努めました。
 前の方の面接が終了すると、タイムキーパーの方が教室から出てきて、待機室で記載した面接カードと、一次・二次試験の受験票双方の提出を求められました。
 タイムキーパーの方は教室に戻り、準備を整えた後、再度廊下に出て、私に一次・二次試験の受験票双方を返却し、カバンに収めるよう指示なさいました。
 私がそれらをカバンに収めると、タイムキーパーの方は私に「どうぞ」と告げ、教室に入るよう促しました。
 いよいよ勝負の時です。

4.入室

 ドアを開け、「Good morning!」と言うと、ネイティブの面接官の方から「Good morning!」と返していただきました。
 面接官は、コッテコテのブリティッシュアクセントのネイティブ男性面接官と、日本人の女性面接官の構成でした。
 面接官はお二方ともマスクをしておられましたが、私自身は前回の経験から、発音による評価を適正にいただくため、教室に入る前からマスクを外し、明瞭に声が伝わるように配意していました。
 入室から席に向かうまでの間、男性面接官が「持ってるかばんは机の横にある椅子の上かどこかに置いてよ。」と指示してくれました。
 めっちゃ早口で。

 前回はマスクで声が聞こえにくいという障壁がありました。
 今回はマスクで聞こえにくいだけではなく、結構な早口です。
 頭の中と心の中に不安がビュンビュン音を立てて行きかっていました。
 手持ちの荷物を椅子に置くと、自席の隣に立ちました。
 お座り!の合図がないと座らないのは飼い犬と面接試験受験者の定めです。
 1.5秒ほど、自席の隣に立ち、微動だにしない私と面接官との間に得体のしれぬ気まずい空白の時間が流れると、男性面接官は「あ、座ってよ。」と着席を促してくれました。
 続いて面接官は「英検1級の受検者でよかね?」「マスクしとるばってん、声はっきり聞こえとる?」と英語で質問されたので、私は「少しね」と英語で答えました。
 今思えば、はっきり「聞き取りにくい」と言うべきだったのかもしれません。
 男性面接官は、私の「(はっきりの度合いは)少し(くらいしかないと言えない)」という本心をくみ取ることなく、自らの名前を名乗り、「Nice to meet you.」とあいさつしてくれました。
 名前は一切聞き取れませんでした。
 正直、名前であったかどうかもわかりません。
 次の女性面接官が、お名前の後に「Nice to meet you!」とおっしゃったので、「男性面接官はひょっとしたら自分の名前を言ったのか…。」と思っただけです。
 皆さん、面接で声を聞きとれるかどうか、遠慮なくはっきり言うべきです。 

5.speech~interaction

 面接は、最初に私の自己紹介を求められました。
 私は「地方で英検1級受けようと思えば、電車で数時間移動したり、交通費の支出がかさむから、東京に住んでいる間は過去の合格に関係なく、できる限り多く受検しようと思っている」と語ると、面接官お二方とも笑ってました。
 地方在住者は本当に大変なんです。
 続いて、男性面接官は「カードを裏返しにしたら1分でトピック選んでね。この手順、わかるでしょ?」と。
 もちろん、わかってますよ。
 と、カードをひっくり返して文字に目の焦点を合わせる前にタイムキーパーがタイマーのボタンを押す音が聞こえました。

 早っ!

 焦る気持ちを抑えつつ、5つの問題文に目を通します。
 いつも通り、全て見たことのない題材ばかり。
 スマホの題材、環境ネタ、宇宙開発系のネタがあった記憶がうっすらあります。
 体感的に、全ての問題文に目を通した時間で20秒ほど。
 この時点で、どの問題も柱がを2本立てられそうなものはありませんでした。
 まともなスピーチができる自信は全くありませんでした。

 さらにこみ上げてくる心の焦りに耐えつつ、最初の問題文を読み直し、思い切って最初の問題に挑むことにしました。
 体感的に、本当にこの問題でよいのか、という迷いで5秒ほど空白の時間がありました。
 その後、20秒で天から舞い降りてきた神様か仏様かのお示しを受け取り、なんとか、スピーチできそうな素案ができた時点で、タイマーが鳴りました。
 心に迷いや不安があることはしっかり感じていましたが、清水の舞台から飛び降りるつもりで、話すしかありません。
 しかし、少し、ほんの少し、自信というか、落ち着きがありました。
 なぜなら。
 どうぜ準備していても、見かけることがなかったようなニッチな話題が5つ並んでいたからです。
 逆に吹っ切れました。
 これは、試験対策に要した勉強量ではなく、人生かけての勉強量が試される試験だ、と思い切って、迷いや不安を断ち切ってスピーチを始めることができました。

 ここは声を大にして言いたい。

 面接対策本で見かける題材は面接で見ることはない。
 あんなに白黒はっきりするような題材は提出されない。
 試験ではだいたい見たことのない題材が出題される。
 これは断言できる。

 だから、ある程度、対策に見切りをつけるという考えは必要でしょうし、あきらめの気持ちも功を奏すかもしれません。
 
 私が選んだ題材は、国民の支持を得ながら政府が金をどう使うか、という質疑応答につながるようなものでした。
 interactionのQAセッションでは、男性面接官2問、女性面接官1問の質問をいただきました。
 男性面接官の2問目は「スウェーデンとデンマークとか、税金高いのに幸福度高いよね。今のご時世、軍事費って大事になってるけど、彼らにとっては軍事費なんて必要ないのかな?アメリカなんかはガンガン軍事費支出しているけどいいの?」というものでした。
 私は、「スウェーデンとデンマークは双方とも情勢が安定しているから、軍事費の優先度は高くないと思うんだよね。スウェーデンは一応中立国だ(った)し、デンマークも周りは敵意ある国に囲まれているわけでもないし…」と答えると、「ロシアがあるやんけ!(笑)」と突っ込んできました。
 この間(ま)は絶妙でした(笑)。
 女性面接官も笑ってました。
 英検も面接ではあるまじき、受検者への解答にたいするツッコミ。
 ありえない展開がもたらした笑いだったと分析しています。
 言外の含みとして、今のロシアとウクライナの戦争が及ぼす影響は無視できないと語ることを期待しておられたのかもしれません。
 私は「そうやけれども(笑)。けど、記憶では、ロシアと国境は接してないよね。デンマークにはEUの同盟関係があるし…」というと、男性面接官は「そうだよね(笑)」と相槌打ちながら言ってくれました。
 女性面接官は尚もクスクス笑ってました。
 アメリカについて話そうとしたところで、タイマーが鳴りました。
 やり取りの内容は粗がありましたが、笑いのおかげで、無駄に良い雰囲気が増幅されて、教室を後にしました。 

6.振り返り

 男性面接官は、英語をしゃべる前に「あの…」と日本語で言う癖がありました。
 想像ですが、きっと日本人の配偶者か誰かがいらっしゃって日常的に日本語を話しているのかな、と推測しました。
 しかし、穏やかな雰囲気を醸し出されておられ、面接、というより、会話、という感覚で話していました。
 それでも、終始、早口は変わりませんでした…。
 質問も鋭かったですが、親しみやすい人柄がにじみ出ており、リラックスして英語を話すことができました。
 なんとか、面接官の方が期待するようなまともにコミュニケーションが成立していたことを願ってやみません。

 その帰り道の出来事を下記のとおりポストいたしました。

 十分に対策できなかった不安と未知の問題に対峙した緊張を乗り越え、わずかの安心感を抱えて会場を後にしました。
 理想は、特に対策しないまま試験に臨んで合格することが当たり前にできる実力を備えることです。
 来年度からの英検受験料値上げが発表されましたが、IELTSとTOEFLの価格と比較すると、個人的にはお手頃価格感を持っております。
 試験に挑戦することで、不合格を避けるために取り組む学習が日々ルーティン化する英語習得過程のカンフルとなります。
 今回の結果がどうであれ、再度、英検1級に挑み、新たな学びを得ていきたいと思っています。

 長文、最後までお読みいただきありがとうございました。