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笑止千万!武田総務相によるキャリア料金値下げ強制とドコモのサブブランド「ahamo」

資格試験の受験が終わったので、久々に投稿します。

菅政権の総務大臣 武田良太氏が、スマートフォンの20Gバイトなどの大容量プランの料金を、KDDI(au)などがUQモバイルなどのいわゆるサブブランド料金で値下げしたことを「不親切」「意味がない」「羊頭狗肉」などと強く批判(11/20)。これを受け、NTTドコモは12/3に「新料金プラン」として「ahamo」を発表しました。

「ahamo」は楽天モバイルと同じ月額2,980円で、20Gバイトのデータ容量に加え、5分以内の通話は回数制限なしなど、破格の激安プランで、ネット上で大きな話題をさらっているようです。

武田総務相はこの発表を「メインブランドでの値下げ」であるとして歓迎し、期待感を示したということです。

が、私に言わせれば、笑止千万です。

「ahamo」はドコモショップでの契約はできず、オンライン契約のみに限定され、ドコモのキャリアメールは利用できないし、ドコモ契約との家族割などもできません。スマートフォンのアンテナピクト表示には「docomo」ではなく「ahamo」と表示されるとのこと。しかもサービス開始後、当面の間はMNP料金(キャリア間で電話番号を同番移行する際の手数料)もかかるそうです。

これのどこが「メインブランド」なのでしょうか!?

武田総務相のサブブランド批判発言を受け、慌てて「料金プラン」であると強弁したに過ぎません。

このような見方は、識者の間にも広がっているようです。

「ahamo」発表を受け、KDDIやソフトバンクも当然追随し、同額水準のプランを打ち出してくるでしょう。

楽天モバイルの2,980円は全く魅力が無くなってしまいます。同社はまだ無料期間中であり、来年以降にサービスエリアの拡大がある程度進んだ段階で有料化してからが本当の勝負と見られていました。この時期に先行3キャリアが「ahamo」水準に下げてくることで、来年以降の楽天モバイルの優位性は失われ、さらなる料金値下げに踏み切らざるを得ず、事業採算は大幅に悪化、通信事業の黒字化時期が遠のくことは避けられません。果たしてECなどの本業で支えきれるでしょうか。

また「格安スマホ」「格安SIM」などを提供するMVNO(仮想モバイル事業者)も、UQモバイルやY!モバイルなどのサブブランド系は別として、大手キャリアからの卸し料金が引き下げられたとしても利ざやを稼げなくなり、廃業に追い込まれるところが増えると予想されます。

以前の記事で、通信市場の競争促進と活性化のために政策的にMVNOを立ち上げてきたにも関わらず、官主導で半ば強制的に料金値下げさせることにより、結果的にMVNOの首を絞めている場当たり感を指摘しました。

今回の武田発言は、さらにこれを助長したものであり、長期戦略や一貫性の全く感じられない、近視眼的な人気取り政策としか思えません。

私は基本的に与党支持者ですが、菅官房長官時代から続く、資本主義社会でありながら、民間企業の商売の根幹である「値決め」に政府が口出しするという横暴行為には、強い危惧の念を抱かざるを得ません。

一方では、NTT持ち株会社によるドコモ子会社化は淡々と進められており、通信市場の公正競争環境を所管大臣自らが後退させていると、強く指摘したいと思います。

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