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先延ばし癖の話をしよう

 上の画像をご存じだろうか。
 ライフカレンダーと呼ばれるもので、人生が残りどのくらいなのかを可視化し、やる気を起こさせるためのツールである。すでに我々は多くのボックスを塗りつぶしており、残りのボックスも数えられない数では無いことがわかる。

your life
http://some1else.github.io/life/

 今回は先延ばし癖の話である。すでに1時間ツイッターを見ながら先延ばししてしまった。そしてこのnoteも電話する用事を先延ばしにして書いている。

--------------12 hours later--------------


 お昼の2時に書き出したのだが現在午前2時。一体おれは何をしていたんだろうか。。。何もしてない。上記の電話の用事そしてをクリアした後、ツイッターツイッター、ツイッターで見つけたブログ、youtubeでモータースポーツのハイライト。ご飯はしっかり食べた。はいウンコ製造機である。

 読んでいてお気づきの方いるかと思うがnote書くのを先延ばしにしたおかげで電話を掛けられたという面白いことが起きている。嫌なことの先延ばし合戦、現実逃避のオンパレード。殺してくれ。

 前置きはここまでにして先日、2016年にTEDで公開された先延ばしについての動画が面白くてnoteを書き出したのである。
先延ばし癖する人の心理と脳内状態、そして苦悩をうまく説明されていて非常に共感した。(日本語字幕あり)


 上のプレゼンをしたアーバンさんは「Wait But Why」というブログを書いている。やることを予定通りこなせずにいつも締切ギリギリになってしまう行動は、他の人をいつも困惑させるため、先延ばし癖がある人(procrastinator)についてブログを書いたそう。
 そこでまず立てた仮説が「予定通りに動ける人と、予定を先延ばしにしてしまう人は脳が違う」ということ。


「私はMRIラボで自分の脳をスキャンしてもらい、予定通りにこなせる人の脳と比較しました。今日はその結果をみなさんに見てもらいます。注意深く違いを観察してくださいね」


 先延ばし癖がない予定通りにこなせる人の脳は、「理性的意思決定者」(Rational Decision-Maker)が計画的に正しく舵取りをしている。そして先延ばしする人の脳には、理性的意思決定者の横に「すぐにご褒美が欲しがるサル(Instant Gratification Monkey)」がいる。

 これがどう先延ばしに繋がるか?

 

 どちらの脳にも理性的意思決定者がいて舵を握っており、予定通りに物事を進めようという気持ちはある。しかし何か生産的なことに手を付けようとしたとき、それを気に入らないサルは舵を奪いこう言うのだ
「君の決定には賛成!でもGoogle Earthを開いてインドの下端をズームしてみよう!2時間半スクロールして上の端までいけばインドという国の雰囲気がよく掴めるんじゃないかな!!」や
「wikipediaで北九州監禁殺人事件について調べてみようよ!なぜならそんなことがあったことを思い出したから!」と。

 そして冷蔵庫に行って10分前から何か変わっていないか確認し、youtubeを開きリチャードフォイマンの磁石について語る動画を見始め、最終的にはなぜかジャスティン・ビーバーの母親のインタビューを見ている。それで手一杯だから今日はタスクを入れる余裕なんてない。

なぜこんなことが起こるのか?

 サルには「今」しかなく、過去や現在を持たないためであり現在のラク・楽しさを求めるからである。動物の世界ではそれで問題ない。例えば犬であればずっとラクで楽しいことだけして過ごすことは大成功の生き方だろう。しかし人間世界となると話が異なる。

 人間は食べて寝てセックスするだけの原始的な生活だけでなく、他にも沢山することがある。そんな高度な文明社会にいる事をサルには理解ができない。理性的決定者は、他の動物にはない能力を持っている。それが「長期的に物事を見る」「物事の全体像を見る」という能力だ。

 時には「やるべきこと」が、「気楽で楽しい」こともある。つまりサルと理性的意思決定者の意見が重なるときである。

 しかし、基本的にやるべきことは楽しくなく、困難なことであることが多い。この時、人の中には葛藤が生まれる。そして先延ばし屋は葛藤が生まれた時に気楽で楽しい、しかし結果のためには意味をなさないところへ逃げる。その場所を「闇の遊び場」と呼ぶ。

 闇の遊び場は、「すべきでないタイミングで楽しいことをしてしまう」という先延ばし屋なら誰でも知っている場所である。ここで遊ぶ時は罪悪感や恐怖心や不安、自己嫌悪などが常につきまとう、本当の楽しみとは似て非なる感覚である。

 では、闇の遊び場から抜けだし、理性的意思決定者が舵をとり人がやるべきことに向かう時、脳内で何が起こるのか?

 
ここで登場するのが「パニック・モンスター」である。パニック・モンスターは普段眠っているが、締切が近くなったり、公衆の面前で恥をかきそうになったり、とにかく人が恐怖する事態が迫ってくると突然起き上がってくる。そしてパニック・モンスターにおびえたサルはどこかに逃げ去っていくのである。

 サルが逃げ去ると、理性的意思決定者がやっと舵を取れるようになる。

 パニック・モンスターの存在が、書き出しに2カ月かかった論文を72時間で仕上げさせ、どこに隠していた?というような集中力を発揮させるわけである。キレイなやり方ではないが最終的には機能する。
 このことをアーバンさんがブログに書いた時、世界各国のさまざまな仕事についている人たちから反響があったそう。職種を問わず、銀行家、画家、エンジニア、そして数多くの大学院生達が先延ばし癖であることを悩んでいたのである。

先延ばし癖の機能はキレイではないものの、作動はするハズなのになぜそれほどまでに人々の重く暗い悩みとなりうるのか。

 そこで、先延ばし屋には論文や仕事のような「締切がある時に起こるタイプ」と「人間関係を築く、健康を保つ、家族に会いに行く、うまくいかない関係を解消する」というような「締切がない時に起こるタイプ」の2種類があることに気づく。
 問題は、前者の場合はパニック・モンスターが現れるのに、後者の場合はほとんど現れてくれないことである。そのため、後者は短期的な先延ばし癖よりも問題が深刻化しやすく、「やる気になれない」「自分はだめなヤツだ」と一人静かに延々と思い悩むことになり長期的で大きな不幸や後悔の源となり得る。そしてこの長期的な先延ばしは、自分の人生に対し傍観者のように感じさせる。

 多くの先延ばし屋は、何かの仕事で缶詰になっていて苦しいわけではない。本当に苦しいのは「夢を実現できないこと」ではなく、「夢を追いかけだすことさえできないこと」なのである。

 しかし先延ばし癖がない人などこの世にはいない。そこで冒頭に書いた、自分の人生が残りどのくらいなのかを可視化してやる気を起こさせるためのライフカレンダーこと「your life」を使う。すでに我々は多くのボックスを塗りつぶしており、残りのボックスも数えられない数では無いことがわかる。

your life
http://some1else.github.io/life/

 覚えておくべきなのは、「締め切りがない時、サルはずるがしこく私達をだましてくる」ということ。

 自分が先延ばし癖があることを自覚し、サルの存在に気づかなければならない。そして今すぐ、今日からでもタスクに取りかかる必要があるだろう。

 

いや、今日じゃなくても・・・まあ、そのうちに。



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