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スマホを閉じたら現実が目の前に広がっていた


 電車に乗っていたらスマホの電池が切れた。こんなときに限って充電器の充電もない。これから30分は電車に揺られるというのにどうしたものか。真っ暗になった画面を見つめ、音のしなくなったイヤホンをはずす。

 普段は気にもしなかったアナウンス、電車の駆動音、人の話し声、隣の人の息づかい・・・これらすべてが耳に飛び込んで来る。
 暗くなったスマホから目を上げると、乗客の皆がうつろな顔でスマホを眺めていた。みんなトリップ中かのようにじっと動かずスマホを眺めている姿は正直笑えたし、自分もあんなあほ面を晒しているのかと思うと恥ずかしくなった。毎日のように見ている窓越しにながれる景色もどこか新鮮に見えた。

 でもそんなことは5分と待たずに飽きた。暇すぎる、かといって勉強するきにもなれない。気付けば充電のなくなった真っ暗な画面のスマホを、ポケットに入れては出し入れては出しを繰り返していた。何も無いとわかっている冷蔵庫を5分おきに開いて何もねぇーとつぶやくのと同じ感じだ。習慣とは恐ろしいものである。

 普段乗車中にスマホでしている事と言えば、ツイッターかspotifyで曲探しかフォロワーのツイキャスを聞くくらいである。

 ぼくは特にツイッターに依存している。様々な人のつぶやきが常に流れてくるTLは刺激的だし、自分のつぶやきにいいねがつくと見てくれている人がいると感じ嬉しくもなる。しかし、いいねやフォロワーが増えようとたくさんつぶやこうと人生は好転しないし、優しいフォロワーも人生の責任までは負ってくれない。このことに気付いた時、依存しているツイッターさえも味方ではないしすべてが空虚でつまらないし無意味だと感じた。つまらなさすぎてスマホを投げ捨てたことも何度もある。

 スマホの充電がない今どうだろう。無意味で空虚で投げ捨てたくなるようなツイッターの何倍も現実がつまらないのである。人と関わるのが面倒なくせに一人でいるとふと寂しさに襲われるという果てしなく面倒な自分の性格のせいだ。

 人生を面白くするために面白くないことやツライことをしたくないので、それならはじめから何もせずただ毎日を無駄に生きた方が楽だとか考えている。ホントは楽しみたいのに、毎日を焦燥感だけで無駄にして取り返しのつかないところまで先延ばしにしようとしているどうしようもない人生である。

 スマホより楽しい人生を生きたいものである。あなたの人生はこのスマホより楽しいだろうか。
(1023文字)


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