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シン・長田を彩るプレイヤー~新長田まちづくりの立役者たち~(後編)



前編では、まちづくりの最前線から新長田の再開発やまちづくりの難しさをお届けしました。引き続き後編では、ディープ長田とも呼ばれる新長田の魅力をはじめ、新長田地域の再生、そして、くにづかの現在と未来をお聞きします。

取材にご協力いただいた、くにづかリボーンプロジェクトの皆さま
友久 和幸さん:株式会社くにづか 代表取締役
高野瀬 卓治さん:株式会社エコクラートデザイン 代表取締役
原田 迅さん:株式会社シップス 代表取締役


新長田の魅力

-記者-
先ほど(前編はコチラ)、新長田の街並みに昭和が残っているとおっしゃっていましたが、具体的に新長田の魅力って何だと思いますか?

-原田さん-
いわゆる人情があったり。
例えば居酒屋に行って、カウンターで2人で話しとったら、知らない女の人から話しかけられたり(笑) 「え?あんた誰ですか?」って(笑)

丸五市場って行かれたことあります?

-記者-
行ったことあります。

-原田さん-
丸五市場は、昼間は割と閑散とした市場です(笑)

今はコロナでできていませんが、丸五アジア横丁ナイト屋台っていうのをやってます。商店街が夜の6時になったら急に煌々としだして、人だかりが無茶苦茶できるんです。千と千尋の神隠しみたいな。
パワーをものすごく感じられますね。

左側:友久 和幸さん(株式会社くにづか 代表取締役)          
右側:高野瀬 卓治さん(株式会社エコクラートデザイン 代表取締役)

-高野瀬さん-
新長田の魅力は、混沌としたところかな。
関西随一ちゃうかな。古いものと新しいものが混在していて、人種も多様。そういうのがカオスで面白い。

-記者-
今まで取材させていただいた方たちもカオス的な部分に魅力を感じているとおっしゃっていました。

-高野瀬さん-
ディープ長田ね(笑)
だってこんなきれいな商店街あるのに、六間道見てみいな。さっき言うてた丸五市場も路地だらけやし、風呂屋もすぐそこにある。

-記者-
新しい建物があるかと思ったら隣にいくとすぐ路地があって、情緒的な雰囲気がありますよね。

―高野瀬さん―
そう。だから、難しいのは、賑わいとは何かってとこでね。
こんな広い商店街ができちゃって。天神橋筋商店街みたいな、ずらっと混沌とした賑わいが出てくると言ったって幻想やしね。ここにはここの形っていうものがある。ここは逆に、広さを生かして、マルシェやイベントができるところなんでね。
その時はすごい賑わうし、そういう時はみんな集まって相談するように働きかけています。

アスタくにづか5番館の地下って、昔は飲食街だったけど、人っ子1人おらへんかった。そこで、卓球場(KunizukaTAQ)をつくりました。あれでやっぱ明るくなったし、周りもよくなって、魅力的になっていこうとしてる。
そのうち良い形になっていけばいいな、と思いながらまちづくりを進めています。

コミュニティハウス内の駄菓子屋。1か月に1000人の子どもがお菓子を買いにくる。

進む新長田の再生

―記者―
まちの再生が進んでいるんですね。

―高野瀬さん―
商売が厳しい人は「商売きついきつい」て言い続けるねん。そのきついイメージは共感しやすいから。ただ、それを言い続けるとまち全体がマイナスな雰囲気になってしまうし、「そうじゃないんだよ、進んでるよ」って言いたい。

―記者―
くにづかさんの努力もあって、今は賑わいが戻ってきてるので、新長田に場所を借りたいっていう事業者もいますよね?

―原田さん―
そうですね。8年前からすると雲泥の差だと思う。
どんどん便利になっていくわけですよ。これは僕の勝手な想像ですけど、あと10年たったら日本の人口の半分は外国人になると思ってます。良い悪いは別にして。
その時まちはどうあるべきかを考えたら、国際色の強い新長田は絶対モデルケースになると思うんですよ。

コミュニティハウス内の育児スペース。地域の子どもたちの交流の場となっている。

―友久さん―
震災から27年か、この地域は完全に過渡期やね。

―原田さん―
街を再生するには、よそ者、若者、馬鹿者っていう。若者はやっぱりいてくれなあかんし、馬鹿者、言いたいこと言う人もいてくれなあかんし(笑)。よそ者、大阪からも来てもらわなあかん。そういう人らが集まって1つの街を再構築する。それしかないんよ。

原田 迅さん(株式会社シップス 代表取締役)

「再開発失敗」といわれた新長田はもうない

-原田さん-
こんな便利なまちってないんですよ。
新幹線乗っても、飛行機乗っても、雨に濡れずに来れる。新幹線降りてから地下鉄1本やし、伊丹空港とかでも三宮まで来れば海岸線乗って来れるわけですよ。
サンダーバードの基地みたいでアクセスの良いとこやねん。

-高野瀬さん-
大体なんでもそろってる。スーパーも病院も学校もあって生活しやすいのに、これ以上求めるものはないですよね(笑)
三宮まで15分で、雨に濡れへん、マンションは安い、スポーツもできて、ファミリーにとっては無茶苦茶いい場所。国道2号の南でも別に何の不自由もない。
コンパクトシティでしょ?

ほんまにみんなに言いたいの。
もう昔の「失敗しやがって」というイメージはない。
まだ志半ばですけど、方向としては、何かは見えてきてますよね。

くにづかの未来

―記者―
この商店街のお店の方や住民の方にとって、くにづかリボーンプロジェクトはどのような存在になっていきたいですか?

―高野瀬さん―
サポーターやね、先導カーじゃないけど、そういうことやんね。リボーンプロジェクトでは、前に出てバーッと主役になるのではなく、プロの目をもってちゃんとまちづくりを誘導していきたい。

―友久さん―
実績として、卓球場ができたし、アスタくにづか4番館3階にくにラボ※ができた。
※くにづかカルチャーラボの略称。株式会社くにづかが運営するカルチャースクール。

だから整いつつあるんでね。だんだんと、ええまちになってくると思う。新長田合同庁舎もできたし、合同庁舎に行く人がお金を落としてくれたら、まぁもっとその存在感が出てくるんじゃないんかなぁ。

―記者―
合同庁舎に行く人として、私もがんばりますね(笑)
貴重なお時間ありがとうございました。


新長田を盛り上げようという想いやその根幹をお伺いすることができ、同じ想いで活動する007の一員として、強く感銘を受けるインタビューとなりました。
新長田の魅力は唯一無二です。このことをもっともっとみなさんに発信し続け、これからもこの地域に貢献していければ幸いです。
(編集:あずりゅう・Hanana)