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デザインスタジオKOELがグッドデザイン賞を受賞しました

こんにちは、KOELの金です。このたびデザインスタジオKOELは、2023年度グッドデザイン賞を受賞させていただきました!

今回のグッドデザイン賞でKOELはモノやプロダクトではなく、「一般向け取り組み・活動」という応募カテゴリーの中で、インハウスデザイン組織としてのKOELのこれまでの取り組みや活動全体をご評価頂くことができました。

NTTコミュニケーションズの社内で、たった4人で草の根的なデザイン浸透活動を始めて早12年…。当時を考えるとまさかこんな日が来るとはまったく思ってなかったのですが、プレスリリースまで出しているので、現実のようです。受賞の理由などはグッドデザイン賞の受賞ページにて確認いただけます。

審査員の皆さんの公開コメントを紐解くと、ご評価いただいたポイントは大きく2つありそうです。

①セミパブリックな領域:公共性の高いNTTグループだからこそ寄り添える、公共性とビジネスにまたがる領域をセミパブリックと領域設定し、デザイン組織を立ち上げ、経済・社会的にインパクトを与えた
②巨大企業へのデザインマインド醸成:巨大な企業が内部からデザインを活用してデザインマインドを醸成することは、社会におけるスケールメリットがあり、規模を活かして社会のインフラ的課題を多発的に変えていくとすれば、この組織が果たす社会的意義は大きい

今回の記事では、これらの評価いただいた点について補足的に語ってみようと思います。


見過ごされがちな課題領域「セミパブリック」

我々 KOEL では、「行政による公共支援と民間による事業支援、双方の支援が届きにくい領域」「公共であるパブリックとビジネスとの間の領域」を「セミパブリック」と呼ぶことにしました。

例えば、教育の現場では全国の児童・生徒一人につき一台の教育用端末を整備する、行政によるデジタル化が行われましたが、生徒に端末が行き届いた一方で、教育現場ではデジタルに不慣れな先生が取り残されるケースがありました。

このような見過ごされがちな「セミパブリック」の領域とは、公共性の高いNTTグループのインハウスデザイン組織 KOEL だからこそ力を発揮できるのではないか、と私たちは考えています。こうした領域でのKOELの活動を知っていただくために、KOELのセミパブリックでの活動事例をインタビュー形式で動画にまとめましたのでぜひご覧ください。

セミパブリックの課題をデザインで解決する

動画内でも触れていますが、このようなセミパブリックの領域でのいくつか具体的な事例をご紹介します。

1つ目は「みえるリハビリ」という心疾患患者の方が在宅でリハビリのための運動が続けられるためのサービスです。

心疾患は日本人の死亡原因疾患の第2位であり、再発率・再入院率が高いことが知られています。
定期的な運動などの心臓リハビリテーションは、心疾患の再発・再入院予防に効果があることが立証されていますが、日本の医療保険制度では心疾患の発症から150日間(保険適用期間)の外来心臓リハビリテーションの実施率は約7%しかなく、さらにそれ以降においては一段と実施率が低くなっている現状があります。
その要因として、外来心臓リハビリテーション実施施設が自宅近くになかったり、運動実施時の適切な運動強度がわからないという課題がありました。

そういった課題を受け、KOELがデザインを担当した「みえるリハビリ」は、スポーツ施設や自宅周辺等のお好きな場所で安心して自己リハビリに取り組み、運動習慣を形成することをサポートするアプリをデザインしました。

実はKOELと同じく、こちらの「みえるリハビリ」も 2023年度 グッドデザイン 賞を受賞させていただきました!

2つ目は「まなびポケット」というサービスです。

前述したように、教育現場では行政主導の教育のICT化が進む中で、デジタルに不慣れな先生が取り残されるケースが発生していました。このような状況に対して、KOELでは、課題の本質を探るために教育現場でのリサーチを行いました。

そこで見えてきたのは、「現場の先生方でツールやICT教育の進め方についての教え合いがうまく発生していないと、ソリューションの活用も進んでいかない」という事実でした。
一方で、教育のICT化をうまく進めてらっしゃる現場のリサーチから、学校としてICT化をうまく進めるノウハウを抽出することができました。

KOELでは得られたノウハウを基に、先生方の教え合いを促進させるための Tips が詰まったプログラム「虎の巻」を作成しました。
この虎の巻は印刷して利用することを想定してデザインし、まなびポケットの ウェブサイトで公開中です。

こちらは、実際に先生方に使っていただいたところ、先生間での教え合いが活性化され、先生方の働き方に対する考え方にもポジティブな影響が発生している、との声もいただいています。

これら「みえるリハビリ」「まなびポケット」の事例はまさに、公共性の高い現場の課題に対しインハウスデザイン組織だからこそできるデザインが実現できたと思います。

デザイン組織を1から立ち上げ、巨大企業のマインドを変える

そして、もう1点の評価頂いたポイント「巨大企業へのデザインマインド醸成」ですが、こちらは当事者として語り始めると note がいくらあっても足りないですね(笑)。以前noteにKOELができるまでの経緯も掲載しました。KOELができるまでのお話に興味を持っていただけた方は、こちらの記事をどうぞ。

2020年の設立以来、KOELの人数規模はなんと約3倍に大きくなり、それと同時に対応できる領域も大きく広がって、ご紹介したようなセミパブリックな領域でも事例となるようなアウトプットを出せるようになってきました。

このようなデザインの活動をKOELだけでなく、会社組織全体で実践していけるように、全社のデザインのレベルを底上げしていくこともKOELの重要な役割になっていて、さまざまな組織でのデザイナー育成も行っています。
このような育成プログラムを通じ、すでに600人を超えるデザイン人材を輩出することができました。

また、セミパブリックな領域での課題解決を推進するために、毎年ビジョンリサーチのプロジェクトを立ち上げたり、エシックス領域の最新事例のリサーチをデンマークで行うなど、リサーチ分野を広げ、深める活動も継続しています。

一方で、セミパブリックという大きな課題領域だからこそ、たくさんの企業やステークホルダーの方と共に取り組むことが大切になります。

そこでKOELでは、複数の大企業インハウスデザイン組織の方々との対話を通じて、「今後、企業の枠を超えてインハウスデザイン組織がどのように繋がり、複雑化する社会課題にどのように向き合っていくか」などをテーマに、各社の実践活動を議論するコミュニティを運営しています。

これまでKOELにお力添えをいただいた皆様へ

今回の受賞に至るまでに、KOELはここでは書けないほど盛りだくさんな課題にぶち当たりながらも活動を続けて、アウトプットを出し続けることができました。
これはひとえに、これまでKOELと活動を共にしてくださったお客様やパートナー企業の皆様、教育・行政・医療など様々な団体の皆様、 NTTコミュニケーションズやNTTグループの皆様のおかげだと心底感じています。本当にありがとうございました。

KOELはこれからも、日々、デザインと真剣に向き合うメンバーと共に、セミパブリック領域を中心に社会課題を解決していく、本当に愛される社会インフラを実装していきたいと思います!

これからも KOELを、よろしくお願いいたします。


そして、最後に宣伝ですが…

10月25日(水)~10月29日(日)に東京ミッドタウンで開催される「2023年度グッドデザイン賞受賞展」にKOELもポスターの展示を行っていますので、もし参加される方はぜひご覧ください。

そして、近日中に今回のグッドデザイン賞の受賞やセミパブリック領域のデザインについてお話するイベントも開催予定です。noteやX(Twitter)でもお知らせしますのでぜひ、チェックしてみてください!

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