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【本】ダネル・スティーブンス、アントニア・レビ『大学教員のためのルーブリック評価入門』→大学だけでなくすべての教員と企業の人事担当者・マネジャーに有用

2017年3月16日

(木曜日はお勧めの本を紹介しています)

■要約

ペーパーテストから成果物や実技によるパフォーマンステストに置き換えることで教育はより良くなる。パフォーマンスを評価するための道具がルーブリックだ。ルーブリックを使うことで、以下のことが可能になる。
 (1) より早いフィードバックを手間をかけずにできる
 (2) 学生自身がどこができていて、どこか不足しているのかがわかる
 (3) 学生にルーブリックを検討してもらうことで、どんな能力が重要なのかがわかる
 (4) 授業改善と教育技能の向上のための良い資料となる

■ポイント

ルーブリックを作るステップは次のように進めるとよい。
 (1) 課題を設定した理由を振り返り、その課題に必要なのはどんなスキルが必要かを検討する。また最高水準の成果物、最低水準の成果物をイメージする。以上によって学習目標をリスト化する。
 (2) 最高水準の到達段階がどのようなものかをリスト化する。
 (3) そのリストをグループ化し、見出しをつける。これが評価観点になる。
 (4) 各評価観点について3〜5段階の評価基準を記述する。
これを表にまとめてルーブリックが完成する。

ルーブリックは学生に迅速で公平なフィードバックをするだけでなく、教員自身が自分の授業を改善するための材料を与えてくれる。つまり、教員がルーブリックを使いながら採点することによって、自分の授業のどこが不足だったのか、あるいは十分達成できていたのかを、いやおうなく振り返ることになるからだ。そのことによって「次の授業ではここを丁寧にやろう」といった改善案が浮かんでくる。

eラーニングやオンライン学習ではBBS(オンラインフォーラム)を使って学生同士の議論をすることが多い。このような場合、発言する人と全くしない人が分かれたりする。しかし、オンラインディスカッションをルーブリックで評価することによって、全員に参加を促すだけでなく、どのような議論やコメントが望ましいものであるかが全員に提示される。これによって議論を生産的にすることができる。

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