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学生服リユースショップさくらや研究【ウィズ・コロナの店舗運営編その1】

 「学生服リユースショップさくらや」は、扱う商品が学生服や体操服であるという特性上、毎年3月と4月が繁忙期です。

 3月は、卒業した生徒・児童の制服を売りに来るお客さんが多く、特に高松市内で小学校や中学校の卒業式が集中する日には、「さくらや」の店内が来店客でごった返すそうです。

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 そして3月いっぱいは、新入学の生徒・児童用の制服を買い求める地元のお客さんが来店します。4月になると、転勤で引っ越してきた保護者が転校先の学校の制服を買いに来ます。

 ちょうどそんな繁忙期に当たる時期に、今年は新形コロナの感染拡大が重なりました。大勢の来店客があるこの時期に政府・自治体の外出自粛要請が出たことは、「さくらや」の店舗運営に大きな影響がありました。

 まず4月1日に、全国の各パートナー店舗に対して、地元の感染の動向を踏まえてリスクを想定した上で、

 ●スタッフのマスク着用
 ●アルコール等の消毒液の設置
 ●窓開けによる通気の確保
 ●入店者数の制限

などの必要な感染予防対策を可能な限りとるよう依頼しました。

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 続いて4月4日には、直営の「さくらや高松店」が休業に入りました。新入学シーズンに休業せざるを得なくなったことは、馬場さんとしても本当に心苦しかったそうです。それでも、お客さんやその家族、そして従業員やその家族の安全を第一に考えて、苦渋の決断をしたと言います。

 さくらやの休業で、転勤などで引っ越して来た人は困るだろうと馬場さんは考え、電話で受け付けて個別に来店してもらう対応を取りました。

 パートナー店舗が休業するかどうかは、各パートナーの判断に委ねましたが、賃料を払って店舗を借りているパートナーが休業した場合には、さくらやの月会費を免除しました。休業により売上げが立たない状況では、パートナーにとって固定費の負担は重いだろうと馬場さんが考えての判断です。馬場さん自身が、東京での打ち合わせや相談会に使っていた千代田区の事務所を撤退せざるを得なかったことも、パートナーの負担軽減に心を向ける要因になったそうです。

 こうしてお店は休業しましたが、その間も、感染防止策をとりながら地域のために活動できることがないだろうかと馬場さんは考えていました。

 当時はマスクがなかなか入手できない状況だったらので、知り合いのハンドメイド作家が作った布マスクを店頭で販売することにしました。併せて、近所の人からもらった大根などの野菜のお裾分けと、子供食堂に代わるおにぎりの配布も企画しました。馬場さんは、これを「軒下マーケット」として実施することを考えました。

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 しかし、香川県内でも感染の拡大が見られたため、お店の周りが密になることは避ける方が良いと判断し、布マスクの販売のみを予約制で実施することにして、野菜のお裾分けとおにぎりの配布は取りやめました。

 当日は、あらかじめ電話で予約した人に時間指定で来店してもらい、10分ずつ間隔を開けて布マスクを販売しました。大人用、子ども用、幼児用の合計130枚を用意して、1人限定1枚で販売し、大人用は完売しました。

 布マスクの販売は、馬場さんが「さくらや」のブログでのみ告知したのですが、普段は来店しないような高齢者を初め、様々な人が布マスクを買い求めに来たそうです。

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 事前には、電話での問い合わせで強い口調で販売を要求されたりと、予想外のできごとがあった馬場さんでしたが、苦労しながらも実際に販売してみると、たくさんのお客さんに喜ばれたそうです。

 地域のお母さんたちのため、子どもたちのため、そして全国のパートナーのために、感染防止と両立できる取組みはないかと、馬場さんはさらに思案を巡らせます。

続く

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