見出し画像

学生服リユースショップさくらや研究【女性の起業支援塾編その1】

 起業支援のセミナーや講演会で全国を飛び回る馬場加奈子さん。さくらやの創業者である馬場さんが起業支援で活躍するようになったきっかけや、地元金融機関と二人三脚で、「何かやってみたい」という思いを持つ女性に伴走する過程を追っていきます。

試行錯誤の店舗運営

 2011年1月、香川県高松市に「学生服リユースショップさくらや」の店舗を構えた馬場さんでしたが、それまで店舗運営の経験もなければ企業経営の経験もなく、試行錯誤の毎日。買取や販売の値段決めから始まって、接客方法、集客方法、商品の配置、名刺・看板の作り方(どこに依頼するか、金額はいくらか)など、自分で経験を積み重ねながらノウハウを習得していきました。

 例えば集客では、馬場さんには広告を出す資金もなかったので、無料で掲載できるブログサービスを利用して記事をアップしていました。とは言っても、ブログの作り方も知らなかった馬場さん。パソコン教室で3回コース5000円(おやつ付き)のブログ講習を受講しました。

 そしてインターネット検索でさくらやを見つけてもらうには、頻繁に記事をアップすることが必要ということで、商品の入荷情報や店内の状況などを、まずは朝の9時、次は11時といった具合に、毎日10本の記事をブログにアップすることを日課にしていたそうです。

 そうしているうちに、ブログを見た地域情報誌の記者が店舗に取材に来ました。記事が掲載されると、今度は新聞社やテレビ局など地元の各メディアからも取材が来るようになりました。

 報道でお店を知って来店したお客さんに、馬場さんはお店のチラシを渡すようにしました。お客さんの周りの人にも「さくらや」を知ってもらうためです。その一心で、チラシをお客さん一人に5枚も差し出したことがあったそうですが、多すぎて受け取ってもらえませんでした。最終的に、渡す枚数は「2~3枚」がちょうど良いということを馬場さんは経験から学びました。

画像2

(創業当初のさくらやとチラシ)

一人で思い悩む日々

 試行錯誤の結果、うまくいかず撤退したものもありました。

 初期の頃、馬場さんは売り上げ拡大を狙って通販サイトを作ったのですが、商品をデジカメで撮ってサイトに掲載したり、メールでの質問に答えたりするのに予想以上に手間がかかったため、結局やめることになりました。

 その通販サイトは、馬場さんがウェブサイト制作会社と相談しながら、約60万円を費やして作ったサイトでした。思い切った出費でしたが、運営の効率性などあまり考えずに作ってしまったことや、売り上げ拡大ばかり考えていたことが失敗につながってしまったと、馬場さんは自己分析しています。

画像2

(かつて開設していた通販サイト)

ほかにも、30万円ほどかけてホームページを作成しましたが、内容が分かりづらく、パートナー獲得には寄与しませんでした。

 「もっと他の経営者の成功例や失敗例を知ることができれば、無駄な出費や時間を費やすことなく、効率的にビジネスを進められるのに」と、馬場さんは当時、一人で思案していました。

 また、起業はしたものの、初年度の売り上げは134万円と伸び悩み、「(学生服リユースではなく)他のビジネスの方が売り上げや利益が上がるのではないか」と考え方がブレることもあったそうです。

 それでも、起業の原点に戻って「これはママコミュニティーが希薄化した現代社会に役立つ仕事」と自分に言い聞かせて、馬場さんは気持ちを奮い立たせました。来店したお客さんが「こんなお店が欲しかったのよ」「周りの人にも宣伝するわ」と言って共感してくれたことも、事業を継続・成長させる原動力になりました。

 こうして馬場さんがあれこれ思い悩んだ経験が、後に多くの女性たちの役に立つことになります。

続く


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?