見出し画像

#32 まともじゃなかった

幼少期から実年齢よりも上に見られることが多かった。
老け顔って事もあるけど、子どもらしく無邪気に叫び周ることもなく、歳の割に落ち着いた雰囲気や言葉遣いがそういうイメージをもたらしたんだと思う。高校生くらいになっても教師からはどこか達観したような物言いからやっぱりしっかりした人という印象を持たれることが多かった。

就職して、社会人になっても落ち着いた雰囲気とスラスラとした受け答え、価値観などからやっぱり実年齢よりも上に、そして”しっかりした人”とイメージを持たれることが多かった。

確かに理性的で、声を荒げることはまずないし、
自分で言うのもアレだが自分の主張なんかを言葉にするのは比較的上手いほうだと思う。そして比較的核心をついたことを述べたりする。生きてきてかなりの割合の人に同じようなことを言われたことがあるので周囲との認識にそうギャップはないだろう。

もちろん全てにおいて自分の意見が正しいだなんて思わない。絶対的に”まとも”でなかったとしても、相対的には自分は”まとも”な人間だといつからか錯覚していたようだ。

そう、それは錯覚に過ぎなかった。
でも少し前までそれに気づいていなかった。

思えば幼少期から少しずつ気づいていたのかもしれない。でも認めたくなくて目を逸らしていた。思い返せば周囲と同じようにできない自分がいた。どこか違和感を感じている自分がいた。

先日の社員旅行で、子どもの頃自分が感じていた感情を久しぶりに思い出して確信に変わった。

ああ、自分はまともじゃなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?