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16.学力の経済学

こんにちは。コウです。

今回は教育経済学者 中室牧子さんの「学力の経済学」を紹介します。

この本を読んだきっかけは、子供の学力について、経済学的視点から考えるとどうなるか気になったからです。

題名だけ見ると難しそうに感じますが、内容はシンプルで、普段何となく疑問に思うことを、科学的根拠を元に解説してくれています。
教育関係に就いている方や、子育て(子供の学力)に悩んでいる方にはおススメです。


前置き


まずこの本の内容に入る前に、効果的な教育について考えてみましょう

みなさんは下の3つの理論についてどんな考えをお持ちですか?

・子供は褒めて伸ばす
・ゲームをやりすぎると暴力的になる
・ご褒美で子供を釣ってはいけない

これらに関して、どう考えますか?

実は、僕はこのことに関して明確な答えを出せませんでした。
なぜならそれに関するデータを知らなかったからです。

例えば、ゲームの話でいくと、僕は学生時代にゲームが好きでした。ポケモンやモンハン、007ゴールデンアイ…などたくさんやりました。(懐かしい…)

かといって暴力的になったかといえばそうでもありません笑。
しかし、アメリカの銃乱射事件で、ある少年は「GTA(グラセフ)をやって実際に試したくなった」など語っている例もあります。

ゲームがどのくらい学力や人格に影響するか、その根拠となるデータや数字が見えないと、明確な答えは導き出せません。

同じように教育に関しても、感覚や持論、経験則で判断してしまうのは、危険なことだと思います。

前置きが長くなってしまいましたが本題に入ります。



子供をご褒美で釣ってはいけない?


結論から先に言います。

ご褒美は、ある条件を満たしていれば効果があるので全然OKです。

まず、ご褒美が与える結果について説明します。
それは

①インプットに与えるご褒美は効果がある
②アウトプットに与えるご褒美は効果がない(ある場合を除いて)

というものです。


ある実験


テストで高得点をだすのは、
①インプットへのご褒美 グループ
②アウトプットへのご褒美グループ
どちらか、という実験が行われました。

インプットとは、「本を読む」「宿題をする」などです。
アウトプットとは「テストで◯点以上取る」「大会で優勝する」などです。

一見、アウトプットにご褒美を与えた方が良いように思えますが、実験の結果はそうではありませんでした。

②アウトプットにご褒美を設定された子供は、
「ご褒美は欲しいしやる気はある。がどうすれば学力が上がるかわからない」
といった状況に陥ったそうです。

逆に①インプットにご褒美を設定された子供のやることは明確です。
本を読んで宿題をすればいいのです。

このようにご褒美は、何に対して与えるかによって効果が違います。


まず勉強の仕方を知ることが重要


②アウトプットにご褒美を与えられた子供達は
「ご褒美を得るためにどうしたら良いか」という問いに対して、
・回答を見直す。
・問題をよく読む。
といったテストを受ける際のテクニックについて考えるそうです。

つまり、アウトプットにご褒美を与える場合には、
「どうすれば成績が上がるかという方法を教え、導いてくれる人が必要だ」
ということです。

例えるなら「サンタさん」です。
「いい子にしていないとサンタさん来ないよ」
というだけでは、子供にとって何が「いい子」なのかが分からないのです。

この場合は大抵「親の言ったことを素直に聞くこと」という具体的な行動が、サンタさんのプレゼントにつながる事を教えないといけませんね。

このように、アウトプットに対するご褒美が有効になるのは、具体的な行動を教えてくれる人がいる事が条件となります。



内発的動機づけ


勘の鋭い人は気づいているかもしれません。
「ご褒美を与えてしまったら、子供が本来持つ勉強が楽しいという気持ちを奪ってしまうのではないか」という点についてです。

実は、この研究ではその結果に差は生まれなかったのです。

つまり、すでに内発的動機づけによって、勉強ができている子供にご褒美を与えても、その気持ちが失われないということがわかっています。


子供は褒めて伸ばすべきか?

この疑問に関しては僕の過去のnoteに書かれています。


褒めることには効果がありますが、大切なのは何を褒めるか?ですよね。

褒め方を間違えると、逆効果にもなり得るので注意が必要です。
美人な人に「美人ですね」と褒めるのは良くないのと一緒です。



勉強はそもそも大切なの?


ここまで勉強について書いてきましたが、勉強がそんなに大切か?という疑問を持つ方もいらっしゃると思います。

データを見ると、実際に学力が将来の年収に与える影響は大きいようです。

しかし、様々な実験で明らかになったのはどうやら、
学力よりも非認知能力の方が重要である。
ということです。

非認知能力とは、以前紹介した「GRIT」や自己コントロール能力などです。



なぜ、非認知能力が重要なのか、そもそも非認知能力とは何なのか、これについてはまた今度紹介します!!


最後に


いつも最後までご覧くださり、ありがとうございます。

いろんな本を読むと、いろんな話が繋がってきて面白いですね。

近いうちに、効果的な学習法や働きかけなど、細かく書けたらと思っています。そちらのnoteは有料版になるかもしれません。

学力の経済学、興味深く読める本です!
気になった方は是非!




ではまたヽ(^^)



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