土曜日の午後のキラキラと日曜日の午後のせつなさと

土曜日はキラキラしている。これは私が土日祝が休みの仕事に就いているからなのだけど、とにかく、目覚めた瞬間のわくわく感が違う。

午前中のうちに掃除洗濯を済ませ、丁寧にドリップしたコーヒーを飲んでひと休み。目に入る光景も空気もきれいになった部屋はとても居心地がいいし、ちょっとだけ手をかけたお昼ごはんを作りたくて、そのレシピをあれこれ浮かべるだけでもたのしい。気になっていたお店でテイクアウトするのもいい。食材の買い出しはどこのスーパーに行こうかな。おやつは何にしよう。好きなように過ごせる土曜日に胸が弾む。

友達と出かけたり、美容室や買い物などの外出の予定を入れるのもだいたい土曜日にしている。明日も休みだからだ。日曜日にのんびりする気まんまんなのである。 

それに比べて、日曜日はうれしいけれど、ちょっとだけさみしさを含んでいる。自由な時間のおしまいが近づいてきているからだ。日曜日の午後は、なるべくおうちでゆうるりと過ごすようにしているが、夕方ともなれば「今日が終わらないでほしい」と思ってしまう。だんだんと思考が現実を帯びて、明日の準備をしなくちゃ……と思う。着ていく服のコーディネートを考えたり、お弁当のおかずを考えたり、仕事のことがよぎったり。月曜日のことが嫌いなわけではないけれど、現実ぅ……と呟いてそのままソファに寝転がり、クッションに顔を埋めたくなる。

ループものの小説やマンガを読む度に、もし私が過去に戻るなら土曜日にしてくれと思う。ループしても記憶がそのまま保持されているなら、一生懸命その頃のことを思い出して心の準備も来るべき事件にも備えるから。だから土曜日にしてほしいと私に都合のいいことを考えてしまう。今現在の私の記憶を持ったまま過去に戻ることがあったなら、不憫で無知すぎた小学生時代や、思春期ぜんかい! といった感じの中学生あたりからやり直したい。私は恵まれていなかったけど、やさしい人たちはそれでもちゃんといたし、その人たちをもっとちゃんと大切にしたかった。

でも、こうも思うのだ。あの時わからなかったり見えなかったりしたものが、今だからわかるし見える。正解なんてないかもしれないけど、こうしておけばよかったとか、本当はこうしたかった、なんて思いと共に、反省や後悔という湿度のある感情がふっとわいてきたりする。それは今の私がたくさんの時間やたくさんの思考やたくさんの経験やたくさんの人との出会いや別れをしてきたからであって、全部今の私のものだ。残念ながら、ループして過去の私になり変わったとして、多少生きやすくはなっても元々の環境や人は変わらないし変えられない。何かしらがうまくいって変えられたとしても、また思考と経験を繰り返し、その時々で選択して日々を編み上げていくしかない。

……と、こんなことを考えてしまうのも、休日の午後ならでは。それも日曜日ならではのセンチメンタル。

この世に魔法のような不思議な力が存在していてほしいけど、明日はやって来るし、過去に巻き戻ることもない。今の私に出来ることといえば、月曜日に楽しく思えるようなことを仕込むこと。

明日のお弁当のおかずは、大好きなさば明太にしよう。大葉を使った厚焼きたまごも入れたい。

夜はいちごのはちみつがけを食べよう。カロリーなんて気にせずに。明日の帰りにお安いスパークリングワインを買うのもいいかも。いちごとシュワシュワしたものはとても合う。しかも私を無条件にしあわせにしてくれる。

外を見ると、空がだんだん夕暮れの色に染まってきた。今からどんどん夜の色を帯びていくんだろう。また一週間、がんばりますか。

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