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「トランスジェンダーとハリウッド」

先日Netflixで
「トランスジェンダーとハリウッド
    過去、現在、そして」を鑑賞。

自分自身がLGBTQの”G(ゲイ)当事者”として
トランスジェンダーの問題も
”分かっているつもり”でいたんです。
「2010年代からはLGBTの
    キャラクターの扱いはよくなったよね」と
あぁ…情けない
この作品を見て
そんな自分を反省することになりました。

実際に活躍している
トランス俳優の方や映画評論家の方の
見解から見るハリウッドは
どんなものなのか?

今回はハリウッド映画好きのゲイのボクが
このドキュメンタリー映画を観た感想
を述べていきたいと思います。


当事者から見る視点

2000年代後半、
実際のトランスジェンダー(*以下トランスと表記)
の俳優が主演するようになるなど、
映画界でもLGBTに対する嬉しい変化が
あったものの、蓋を開けてみると
トランス当事者の扱いはやはり
ピエロ的扱いを受けていることが多かったようです。

ある刑事ドラマで主演した
トランス女優Candis Cayne(キャンディス・ケイン)は
死体役を演じた時、
刑事に「身体がデカイな」
「この大きな足を見ろ」
「胸に手術痕がある」など言われ
しまいにはスカートの中を覗かれ
「被害者は男だ!w」
と言われるシーンがある。
事前にそのようなシーンになると
言われていなかった彼女は
「こんな扱いバカげている!」と
呆れ返りながらも
我慢して役を演じたそう。

Candis Cayne (キャンディス・ケイン)
問題のシーン

そして彼女「DIRTY SEXY MONEY」という
映画ではセリフを喋るシーンにて
”元男のトランスジェンダー”
だと分かるように、なんと制作側が
彼女の声の音程を編集で下げていたのだ

「はじめてテレビに出演したよー!」
とウキウキしながら
友人たちとテレビ前で放送を観てたら
セリフを喋りだした瞬間、
皆絶句だったらしいです

そりゃそーだ
さすがにこれは悪意がありすぎて引く
明らかな差別やん…

LGBTの認知度が飛躍的に向上した
2010年代になっても医療ドラマでは
性別を移行したが故に
乳ガンになってしまう
トランスのキャラクターが登場など…

こういった描写は
繰り返し使われている
何故か?それは
”脚本家が好むから”
実際に映画関係者から聞く
この言葉は本当に
考えさせられました。

”一人の人間”としてフォーカスされることがなく
嘲笑
悲劇
変わり者
そんな扱いしかされなかった当事者の憤りを
ボクはこのドキュメンタリーを見るまで
全然分かっていなかった。

「実際のトランス俳優の人が出てる!
    ハリウッドも変わったなー!」

なんて思っていた自分がいかに
お気楽な奴だったか
反省することになりました…


トランス役はトランス当事者に?

「トランスジェンダー役は
    実際のトランスジェンダー当事者が演じるべきだ」

という議論。
「別に演技がよければいいのでは?」
と思っていたましたが
このドキュメンタリーで最も印象に残った
トレヴェル・アンダーソンのこの言葉で
ガラッと自分の考えが変わりました

番組の作り手に覚えておいて欲しいのは
あるコミュティの物語を伝えたり
彼らが伝えるのを助けたりするなら
自分の特権を認識すること
そして彼らとの違いを理解することだ

Trevell Anderson (トレヴェル・アンダーソン)

自分の特権を理解すること
そして違いを理解すること

これってめちゃくちゃ難しいことだと思うんですよ
例えば車椅子で生活している人が
日常的に不便に感じていることを
健常者は知っているか?と聞かれると
少ししか答えられないだろう
普段なら気にもしていなかった地面の段差が
当事者目線で見ると実は
めちゃくちゃ鬱陶しいことが分かるように
自分の特権って普段の生活では中々気付けない。

安易に「こういうもんでしょ?」
という認識で非当事者がやったものは
当事者の心に刺さるはずがない
それどころか間違った偏見を伝える可能性だってある

もちろんシスジェンダー
(心の性と身体の性が一致している人)の人が
トランス役を演じることが
絶対に間違っているとまでは言わない

しかし実際のトランス当事者の俳優がたくさんいる中、
あえてシス俳優が演じる意味はあるのか?
という疑問が強くなった。

トランスジェンダーの問題は
ゲイやレズビアンなどの同性愛者の問題と一緒に
されがちな部分が多い気がするが、
前者の問題はもっと奥深いことを
このドキュメンタリーを通じて学べて
本当によかったと思う

これは何度も観てじっくりと
咀嚼する必要があるなと感じます

気になった方はこちらからご視聴どうぞ



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