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第39椀 謙信の集め汁

初出:2017年6月11日

<お味噌汁> ひと椀がつむぐ大切なもの それは日本のたから

「お味噌汁復活委員会」は、味噌汁の大切さをあらためて発信していこうと、2014年夏にFacebookページにてスタートしました。世話人、お味噌汁復活ライター、一般読者が思い思いの味噌汁を投稿しています。

味噌汁の出汁・味噌・具材を、それぞれに深く楽しく考え広め、毎日の食卓に味噌汁をいただく習慣を復活させるべく、活動の場を広げています。

私コイタは第1期からお味噌汁復活ライターをさせていただいております。ここでは私の書いた記事をまとめて紹介しています。

戦国武将と味噌シリーズ11

「謙信の集め汁」

ちょうど今頃は旧暦の五月五日あたりで端午の節句ですが、昔は端午の節句に邪気を払う清浄な食べものとして、干した魚介類やツミレ、さまざまな野菜・豆腐・椎茸・油揚げなどを一緒にお味噌で煮込んだ集め汁というものをいただいていたそうです。読んで字のごとくいろんなところから食材を集めて作るので集め汁と言われたという説があります。

この集め汁は戦国時代では大変なご馳走で、織田信長をもてなす宴席では、いりこ、串鮑、麸、椎茸、大豆、甘海苔を使った集め汁が出されたという記録があるそうです。

上杉謙信もふだんの食事はたいへん質素なものだったそうですが、ひとたび出陣前夜となれば「かちどき飯」と呼ばれる、山海の幸をふんだん使った集め汁、飯や酒をたっぷりと兵士たちに振る舞って士気を挙げていたそうです。もしかして謙信にあやかって、端午の節句に集め汁を食べるようになったのでは…などと勝手な妄想をしてしまいます。

今回は山からはハチク、畑から新ゴボウ、海からアジをツミレにして具材にしました。アジは叩いて塩を加えよく混ぜて粘りを出し、おろしショウガと小麦粉を少々加えて団子にしたら、昆布水で茹でます。この茹で汁を出汁にします。ショウガ、ゴボウ、味噌のおかげで臭みは消えます。さらに山と畑の中間から、ミョウガタケ(ミョウガの新芽の茎部分)をさっと湯がいてきざみ、吸い口にしてみました。

集め汁はその時に手に入る旬のものをたくさん入れて作ると美味しいんですね。元気が出ますよ~。

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「謙信の集め汁」
出汁:昆布水、アジのツミレ
具材:ハチク、新ゴボウ、アジのツミレ
吸口:ミョウガタケ
味噌:手前味噌(米麦混合麹)


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