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プロジェクトとプレプロジェクト

非エンジニア向けのプロジェクトマネジメント研修の開発

プロジェクトマネジメント研修を2019年に開発し、登壇した。

プロジェクトというと、ITシステムの開発をイメージする人もいると思うし、プロジェクトマネジメントというとエンジニア向けのものと思われがちだ。ただ、僕はエンジニアではないし、僕の研修の参加者もエンジニアであることはあまり多くない。

なので、非エンジニア向けのプロジェクトマネジメント研修を開発することになった。とある会社での全社展開を見据えた先行投資で、英語の数百ページに及ぶ資料を読み込み、開発を行ったのは良い思い出なのだが、その中で一つ目新しい概念として、プロジェクトとプレプロジェクトがある。

プロジェクトマネジメントはいつ始めるのか

一つ質問をさせてほしい。「プロジェクトマネジメントはいつ始めるのか。」この問いは、プロジェクトとは何かとか、プロジェクトマネジメントはどうやるのかという問いよりも具体的だが、答えにくい質問なのではないかと思う。プロジェクトはいつ始まるのかと換言してもよい。

プレプロジェクトとは

プロジェクトの定義によるところも多いが、プロジェクトはある日突然立ち上がるわけではない。プロジェクトは時限的(開始と終了がある)活動なので、その開始を境界として、プロジェクトとその前段階であるプレプロジェクトがあるのだ。

プレプロジェクトとは、文字通り、プレなのでプロジェクトが始まる前である。プロジェクトの前には何があるのか。

プレプロジェクトの段階

僕はプレプロジェクトをいくつかの段階に分けた。まず、アイデアと企画、企画と計画だ。今回は、ここを説明したい。

アイデア

全体図と全体像について以前書いた。

絵を言葉で説明することはできない。必ずさまざまなものが抜け落ちてしまう。誰かの頭の中にしかなアイデアが全体図であり、実現したいことである。それが顧客のものであれば、「要求」と呼ばれる。この段階でプロジェクトが始まっているかというと、振り返ったらここが原点とは言えるかもしれないが、始まっているとはいえない。

企画

次に、要求は言語化されて「要件」となる。要件は、全体像である。言葉で説明されたもので、だからチームで取り掛かることができる。要件のことを企画と言ってよいと思う。企画は状況変化によって変化しない。

さて、企画を立てたらプロジェクトの開始なのか。これも後から振り返ったらそうだと言えるかもしれないが、今始まったといえるかというとそうではない。

計画

次に計画だ。計画は変化する。だから決裁者は企画の良し悪しを判断し、計画はそこまで見ない。決裁者は企画では方向性とゴールの妥当さを確認し、計画では実現可能性を確認する。

なお、企画と計画はwhatとhowに近い違いがある。その違いや計画の内容については、以下に書いた。

さて、また計画を立てた時点でプロジェクトが始まっているかというと、やはりそうではなさそうに見える。

やはりプロジェクトの開始は、承認とキックオフになり、それまではプロジェクトの前段階になる。運動会で例えると、運動会の企画や準備を指して、運動会が始まったとはいわない。もちろん、広義にはプロジェクトと呼べるが、競技には承認とキックオフがプロジェクトの始まりになるのだ。



最後に、アイデアの手前には何があるのかについても考える必要がある。受動的アイデアと能動的アイデアがある。このうち、能動的アイデアを出すためには、オーナーシップが求められる。オーナーシップについては以下にシリーズを書いたので、是非ご覧いただきたい。


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