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【書評】チャック・パラニューク『ファイト・クラブ』--体を変えると世界も変わる

 久しぶりパラニュークの『ファイト・クラブ』を読み直した。やっぱりすごくいい本だよね。映画もよかったけど、本の方が何倍もいい。
 今回惹かれたのは、体の感覚を取り戻せっていうところ。現代社会で暮らしてると、理屈って言うか、頭だけで生きるようになっちゃうし、人との繋がりも、言葉とかウェブ上の繋がりだけになってきちゃう。
 そこで体の繋がり、つまり実際に触れたり、相手の力を感じたりすることがなくなる。そうすると情報量は上がるのに、なんだか満足感が減ってくるんだよね。そのことを僕らはコロナ禍で身にしみて感じてたと思う。
 だから今この本を読むと、3年前とはまた全然違った風に読める気がする。結構この本を読んで、格闘技を始めたり、筋トレを始めたりした人も多いんじゃないのかな。自分の体を変えると世界の見え方も変わる。こういう、人を行動に駆り立てる本っていいよね。
 あとは、この本の解説でも書いたけど、本気で夢を実現しようとしてなかったら戻ってきてお前を殺す、と主人公たちが相手を脅すシーンがいい。
 やり方は本当に無茶苦茶だけど、なんだか奇妙なほど愛があるよね。お前本気だしてんのか、って言ってくれる恐いおっさんの存在って、実はありがたいのかもしれない。

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