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地上の鷹がエネルギッシュな太陽光を発見

奇妙なタイトルになりましたが、我々が宇宙から得るエネルギーは、いわずもがな「太陽」です。

こんな記事が目に留まりました。

ようは、
太陽から最も強いエネルギーが計測された、
という話です。

計測した場所はメキシコにあるチェレンコフ天文台です。通称HAWC、つまり「鷹」の目なわけです☺

チェレンコフという言葉はなんとなく聞いたことがあるかもしれません。チェレンコフ効果という物理現象で有名ですが、それを発見した方の名前が由来です。1958年にノーベル物理学賞を受賞しています。

ざっくりいうと、電気を帯びた粒子が(真空でなくその媒質中での)光速度より早い場合に光が放射される現象、を発見しました。

イメージで例えると、飛行機が超音速で移動するときに発生する衝撃波、通称「ソニックブーム」のような現象です。

あえて由来者とその発見した内容に触れたのは、彼が見つけた「チェレンコフ効果」も今回に関係します。

HAWCでは、24時間稼働で太陽からのエネルギーを観測します。これは結構珍しく、他の天文台では太陽は夜には隠れてしまうので稼働しません。

観測するときに、通常使われるガラスレンズを通過するチューブの代わりに、数百トンの水の中で大気中で発生した「空気シャワー」の衝突音を聞くことで計測します。
これが、前述の「チェレンコフ放射」を指します。

しかも、24時間といいましたが、2015年から6年間分のデータを収集して今回の発見に至りました。

驚きなのは、その計測したエネルギー数値です。

太陽エネルギーは内部で核融合反応をおこし、それが我々に見える可視光として届き、超ざっくり1電子ボルト(eV)のスケールデス。

電子ボルトとは、1つの電子が真空中で1Vの電位差を通過するときに得るエネルギー、です。

そして、今回HAWCが計測した値は「1兆eV」です。

主役にあたるのは、太陽が出す様々なエネルギーを持つ素粒子のうち「ガンマ線」と呼ばれるものです。

過去に、フェルミ宇宙望遠鏡がこのガンマ線を計測し、結果は約「2,000億eV」でした。その後も同ミッションでは、まだまだエネルギーがあることも示唆しており、今回はそれを示したともいえます。

HAWCが見えた景色は、北米・ヨーロッパ・アジアから100名以上の研究者が名を連ねて今回の結果に貢献しています。

ただ、ここまでの高エネルギーを獲得するプロセスは、厳密には解明されていないようです。

以前になんどか太陽の謎について触れました。1つだけ引用します。

その中でも触れているフレアを生む可能性のある「太陽の磁場」も今回の謎にかかわるかも、という可能性も残っています。

分かったようでわかっていない太陽を、「鵜の目鷹の目」でその実像が解明される日がくるかもしれません。

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