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マヤ文明と宇宙考古学

古代のロマンは未来の話同様とても興味深いです。こんな記事に目がとまりました。
※タイトル画像:Wiki「マヤ文明」内より

マヤ文明と発掘の歴史を書いたものですが、近年テクノロジーによって新たな発見があるので、併せて紹介します。

まず、マヤ文明と聞くと謎の古代文明で、ついにはその予言から着想を得た「2012」という映画を覚えています。

ネタバレはしないようにしますが、2012年末はマヤ文明の「長期暦」が区切りとなるということで、人類終末を表す都市伝説がありました。
1999年に人類滅亡と唱えたノストラダムスの大予言みたいなものだと思ってください。(果たしてOriginalがそう言ってたのかは疑問ですが・・・)

ただ、冷静に見ると、これはこれで凄いことです。
マヤ文明が起源はだいたい紀元前7000〜前2000年の間と考えられています。
そして紀元前の間に、自分たちで「暦(こよみ)」を開発しており、しかも、「長期」とかいたように、長さが異なる3種類の暦を組み合わせていたとされています。

暦以外にも、複雑な貿易ネットワーク、高度な灌漑・浄水・農業技術、戦争、スポーツ、文学も紀元前の間に開発しています。

細かく言えば、周辺のアステカ文明などとの交流でアイデアを活性化していたという説もあり、完全な独自文明とはいえませんが、周辺も込みで極めて進んだ文明地帯といってもいいと思います。

そんなマヤ文明は19世紀に初めて発掘されて注目を浴びましたが、つい最近の2020年に、新しい発見を最新テクノロジーがもたらしました。

ようは、
LiDARを使って空中からスキャンしてマヤ文明最大の建築物「アグアダ・フェニックス」を発見した、
という話です。

LiDARとは、レーザー光の反射特性を使って3D情報を読み取る技術で、自動運転ではおなじみのものです。1つだけ分かりやすい説明サイトを紹介しておきます。

元々西欧の接点は16世紀で、19世紀に再発見されて研究されたのですが、なぜかその後200年近くもたつのにこの建築物は見つけられませんでした。
下記の航空写真を見れば、その理由が分かります。

出所:上記サイト内の画像

どうみても私の目から見たら「自然な地形」です・・・
ところがLiDARでみると下記のような輪郭が浮かびあってきます。(あくあで加工済みのものです)

出所:上記サイト

改めて、最新技術のすごさが分かりますね。余談ですが、LiDARはiPhone12 Pro以降からハイエンドモデルにも搭載されています。

今回見つかった建築物のサイズは、南北1400メートル、東西400メートルにわたって広がる土の基壇(祭壇の基礎部)で、今から3000年前に造られたそうです。
やはり紀元前!宗教儀式に使われた可能性が高く、今から見ても超巨大な祭壇で、おそるべし古代文明です。

そんな高度な文明を持ったマヤ文明が滅亡したのは9・10世紀ごろといわれていますが、理由はまだ諸説あります。

代表的なものが、長期に及ぶ干ばつと、焼畑農法の影響で森林が破壊されて作物が収穫できなくなったというものです。
今後の研究がより明らかにしていくと思います。

ちなみに、今回のように最新技術が歴史的な発見をもたらすのは、既に珍しくなくなってきました。
たとえばこちらのサイトで、今回のマヤ文明の事例含めていくつか紹介しています。
このように、最新技術を使って空から古代文明を探求することを最近では「宇宙考古学」とよぶときもあります。

さらにマヤ文明の場合はAIも活用して、今回見つかった建築物周辺に数万個の建造物があることが分かりつつあるようです。まだ謎は深そうです。

もともとマヤ文明は、エジプトの王のような集権体制でなく、皆が階層なく支えあったフラットな社会形態とみられていました。
なのに、このような超巨大建築物を構築出来たのは専門家にとっても意外で、人間社会の可能性を考えさせられる発見です。

最後に、マヤ文明から現代に戻ります。

実は細かくいえば、文明は存在しませんが、そこに住んでいたマヤ人の系統はまだ滅亡していません。

冒頭記事によると、現代の中米に600万人以上のマヤ人の子孫が生活し、古代マヤ語から派生した30以上の言語(!)を使っています。
そして彼ら彼女らは、マヤ文明の農業・宗教・土地管理に関する数々の伝統を今でも守り続けています。

上記の巨大建築物発見もそうですが、まだまだ現代の我々が古代から学べることは多そうですね。

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