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日本政府AI戦略(2022)差分を読んでみる

AI(人工知能)は今第三次ブームと言われています。

その引き金は、今まで長年日の目を見てこなかった「ニューラルネットワーク」の学習を多重化した「ディープラーニング(深層学習)」です。

第三次ブームが従来と違って冬に戻ることがないのは、産業のメカニズム、つまり収益を生む手段としてある程度確立されているからです。
特にGAFAMはAIを上手く活用してその広告手段や自社サービス改善にフル活用してきました。

むしろ今は、AIを社会にどう実装していくのか?、がまだまだどの国も試行錯誤な状況に感じます。
たとえば、Googleでさえカナダでのスマートシティ化に挫折して、新しいチャレンジを始めています。

そんな背景で、日本政府も以前よりAIを使った戦略をうたってきましたが、最新版が2022年4月末に公開されてましたので、今回はそのポイントを紹介してみようと思います。

元々のスタートは、2016年4月に内閣府が主導したCSTI(総合科学技術イノベーション会議) です。
翌年にAI技術の産業化ロード マップが公表されて、2018年から今のAI戦略に落とし込む活動が本格化しました。

以下は、上記の流れで内閣府が発行したAI戦略の最新盤(2022)を元にしています。

今回の大きな差分は、「差し迫った危機への対処」が挿入されていることです。
いわずもがなパンデミックをはじめとした天災への対応を意味しています。
一見するとピンとこず、AIがこの大きなテーマでどういう貢献が出来るのでしょうか?

ちなみに、それ以外は前回の進捗報告の色合いが濃いので、先に目標別にさくっと整理して流しておきます。

目標1:人材→データサイエンス系プログラム認定制度、GIGAスクール構想の開始
目標2:産業競争力:スマート農業実証プロジェクト実証中
目標3:技術体系:人工知能研究開発ネットワーク設立
目標4:国際:-

4の関連で海外情勢も添えられ、米国は安全保障、中国は軍事能力、欧州はリスク規制を例示しています。
もちろんこれだけではないと思うのですが、若干個性(作者の思惑?)を感じます。

話を主題に戻します。

天災へのAIが出来る貢献として、同書では下記の構造で言及しています。

1.国家規模
1).デジタルツインの構築

 防災・救助を総合サポートできる基盤
 国民保障など公共基盤のデジタル化
2).グローバル・ネットワークの強化
 データ基盤の国際的連携による「データ経済圏」構築 

2.地球規模
1)サステナビリティ分野へのAI応用
 
安定的な食料供給。エネルギー対応。医療/教育アクセス改善。資源の循環化。
3.強靭な基盤
1)「責任あるAI」に向けた取り組み 等
 「説明可能なAI」などの技術開発でのリーダーシップ

上記実現に向けて、「仕事を奪う」「技術者だけのもの」「データが全て」という思い込みを捨てましょう、とつなげて個々の具体的なプランにつなげています。

おしなべて、各民間企業でも多かれ少なかれ進めている活動という印象を受けました。

政府でないとできないところは、安全保障や国民データベースに関わるところでしょうか。

それにしても、内容自体は従来と違う表現を使ったループ構造に感じます。

率直に言って、どんな最新コンセプトや科学技術でも、途中で挿入されている「リーダーシップ」に尽きるかなと思います。

おそらく技術革新は、政府の介入というよりは、民間競争力を高めるための規制緩和(安全保障系は例外)ぐらいかなと思います。

消去法で、この取り組みが一番省庁横断で内閣府を中心に組成化しているようにも見えるので、国家でしか出来ないことに関しては、ぜひ応援していきたいと思います。

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