先に行かないで編

情報の量とスピードに頭の処理が追いつかない感覚

私が、スピードについて行けなくて、困ったことのひとつに、動き回ってすぐ見失ってしまう息子を探す事があります。

色んな事に好奇心旺盛だった、2-3歳の時期の息子は、一瞬で、目の前から居なくなります。

スーパー、公園、児童館。どこへ行っても目が離せません。

見失わないように気を張りっぱなしでしたが、視界からいなくなってしまいます。すぐ探しますが、見た場所をすぐ忘れてしまうのと、広範囲が見渡せなくなっていたので、店の中を何周もして、何度も何度同じ所を探し回っていました。

障害とはいえ、自分の不甲斐なさにイライラしました。

家族で歩いて外出している時でも、苦行は続きます。

夫はドンドン先に歩いていってしまうし、子供は後ろで道草を食っている。その間にいる私は、2人を見失わないように、何度も何度も確認前後を振り向いて歩く。

記憶が残らない私にとって、この前後確認の動作は本当に疲れる作業でした。わざわざ疲れる為に外出しているように感じていたので、外出が苦痛でした。

「先に行かないで」と何度も夫に言った事がありましたが、その時はゆっくり歩いてくれますが、ホントにその時だけで、また先に行ってしまうので、私が辛いのは、全然伝わってないのだなぁと、落胆しました。

「先に行かないで」は、もうこれ以上、私の頭に負荷を掛けないで、疲れさせないで、という思いで言いました。

言葉通りの意味でしか受け取らない家族に、泣いたり、怒ったりしましたが、本当の辛い気持ちは全然伝わってなかったと思います。

家族のせいではありませんが、私のせいでもありません。

共感されないので、伝えることは諦めました。なので、必要な事以外は夫に相談するのはやめました。

スピードが速い外の世界は移動するだけで、私を疲弊させました。

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2019/07/03に登壇させていただいた、東京都の高次脳機能障害者相談支援研修会の資料になります。東京都の行政・医療・福祉関係者向けでしたが、マンガなどを使ってわかりやすく書きました。

30代で脳出血から高次脳になった普通の主婦が当事者として感じたリアル体験談や悩みを綴ります。有料価格を設定していますが、中のノートはほぼ全…

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