「センス」とは集積した知識をもとに最適化する能力/「売る」から「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義(前編)

ブランドをつくるということを、水野学氏は「河原で石を積み上げていく感じ」と表現しています。

水野氏は「くまモン」をはじめ、東京ミッドタウンや相鉄など幅広くデザインやブランディングを手掛けてきたクリエイティブディレクターです。

今日紹介するのは、そんな水野氏が慶応大学でおこなった講義「ブランディングデザイン」を編集し書籍化されたもの。


「売る」から「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義

デザイン領域の方だけではなく、幅広くマーケターにとってもブランディングについての知識を深め、思考を1段階上へアップデートできる内容でした。

石を積み上げていく行為とは、現実世界でいうところの「企業が発信するアウトプットそのもの」で、つまり、「ブランドをつくるということは、見え方をコントロールすること」とこの本には書かれていました。

見え方をコントロールするために、この本を読んで学びとしてまとめたいと思ったのは大きく分けて、

①センスを磨く
②自分たちのらしさを見つけ、アウトプットする

という2つのポイントです。

今回は1つ目のポイント「センスを磨く」についての学びをまとめました。

「センスとは、集積した知識をもとに最適化する能力である」


「センスは努力すれば身に着けることができる。」というのが水野氏の考え

この本でも例としてできていましたが、「あの人はおしゃれだ」といわれるような人は

そもそもファッションに豊富な知識を持っていて、それをもとに状況や条件に合わせて、最適化をしている。

だから、センスとは知識を積み重ねることで、どんどん磨かれていくものだとこの本では書かれていました。

何かを選んだり、決めたりするときに、生まれ持った才能を頼りにしているわけではなく、

自分がそれまで蓄積してきた知識をもとに、最適化を図っているものであると書かれていました。

広告の企画を考えるときに、自分の頭の中にある広告の事例が全く役に立っていないという人はいないはず。

なので、知識を蓄積していくということの重要性はある程度理解があるものの、どのように知識を蓄積していくのか。というところをこの本は教えてくれます。

それは、ただもちろん知識を集めれば良いってものではなく、知識を正しく整理していく必要があり、

大きく分けて3つの方法が紹介されていました。

1.王道・定番を知ること

2.流行を見つけること

3.共通点を見つけること

ひとつずつまとめていきます。

1.王道・定番を知る

まずはどんなものが評価されているのかの物差しを手に入れるために、
王道・定番を知る必要があると書かれています。

王道・定番を知ることで、どんなことやものが生活者に受け入れられているのかがわかるという感覚はなんとなくわかりますよね。

王道・定番というのは実績があるから、王道・定番になるので、世の中でどんなものが長期的に受け入れられているのかがわかるようになるなと思いました。

それと同時に個人的に思ったのは、結局は王道そのものをそのまま真似することはできないし、ただ真似しても二番煎じ三番煎じになってしまい、
バリューがなく、そのブランドらしさは出ないので、

このタイミングで「なぜ王道・定番になっているか」というところを
仮説ベースで抽象化しておけると、実際のアイディアを考えるときに、
転用しやすい状態で集めておけるなと思いました。

2.流行をみつける

2つめはそのプロジェクトにおける、流行を集めるということなのですが、流行は王道・定番と対立構造のこともあれば、その後の王道・定番になっていくようなるものもあったり、また、王道・定番ににじむ要素もあると思うので、王道・定番と同じノートの中で集めておけると良いなと思いました。

流行をとらえることで、今この瞬間にどんなことが世の中に受け入れられているのかを発見することができるので、そのトレンドはどんな人が作っているのか、どんな人に受け入れられているのかなどを一緒に見ておけるとより解像度が高くなるなと思いました。

3.共通点を見つける

3つ目は共通点を見つけること。

たくさんのものを見て、共通点やルールを見つけ出し、共通点やルールの理由や根拠を分析してみる方法。

例えば、SNSキャンペーンを成功させたいというゴールがあったとして、
うまくいった事例など見ながら、どんな要素があるのかを書き出してみる。

それを事例としてかき集めて、どんな要素があるとうまくいくのかを
抽出していく。

抽出した共通点が「なぜSNSキャンペーンを成功させた要素なのか」を考えてみる。

みたいな考え方になるかなと思いました。

以上、センスを蓄積するための3つの切り口でしたが、
この3つを一元で管理し、「なぜ」を分析した項目をグルーピングできる
と、よりセンスが磨かれる(最適解がだせる)ようになるなと思いました。

イメージ

上記は特定の目的が定まっているときや例えば提案をするとき、
特定の課題に取り組むときなどやることが顕在化しているときに、
まとまった時間を使ってこのステップでおこなうと効率化できそうだなと思うのですが、

日々の情報の蓄積があると、よりセンスの良いアイディアが生まれるとも思ってます。

ケトル嶋氏の著「アイデアのつくり方」(いつかこの本もまとめたい)でも書かれていますが、

あ、これ最近感じたんだよな。とか、こんなコンテンツがおもしろかった。この本が学びになったなどなど、日常の中の発見を気づいたらメモに取れるといいですよね。(やろうと思いつつなかなかできていない)

あとは僕は週1回2時間広告事例を見て考察をまとめる時間を取っているのですが、事例をまとめることは定番や流行を知ることにもなり、効果的だなと思いました。

たくさんの情報を詰め込むからこそ、無意識から電報が届き、センスの良いアイディアが生まれる。

センスとは、知識を積み重ねることで、どんどん磨かれていくものと信じ、
知識を日々積み重ねていきたいなと思うのでした。

②自分たちのらしさを見つけ、アウトプットするについてのまとめは次回に続きます。

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