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マーケターはPMFもいいけどOMFもね

PMFという言葉が流行ってる

Growth メソッドとしてPMF(Product Market Fit)があります。

4PはマーケティングのProductにあたりますが、Product/Serviceが大きくなるとそんなに簡単にいじれなくなるんですよね。生産ラインからのリードタイムは相当かかるし、R&D部門との壁もかなり大きい。もちろんA/Bテストとかできません。製造業のプラントとかそんな高頻度で変えられないよ、という話。

これをどうにかするのがPMF、と捉えられているけど、個人的には全世界でやるにはちょっと遠い気がするんですよ。出来立てホヤホヤ、開発に関わる要素が限られているProduct/Service ならダイナミックな変更も可能ですが、既存顧客の安定稼働・供給、設備投資の抑制も見据えた変更は慎重にならざるを得ないんですね。ログインページのUX改善ぐらいならいけるけど。

ある程度Product/Serviceが育ってくると、対象マーケットのアーリーアダプター層が枯渇するんですよね。実際には「適切な顧客は存在するんだけど、チェンジコストor導入コストが高くて、導入に至る動機が低い層」が残る。この人たちはSEOで検索することも少ないし、資料請求してもそこで離脱する。アポイントとって商談できても、そこからのステージアクセラレーションが難しい。

そもそも成長しているProudct/Serviceはマーケットニーズという概念にがっちりMeetしたから成長してきた訳ですが、提供企業から見るとそのニーズはグラデーションで薄くなり、顧客から見ると「万難を排して導入する意欲」が薄くなるはずです。その結果、ユニットエコノミクスも徐々に悪化する、という流れになります。

じゃあどうすんだという話

Product/Serviceの改修でMarket Fitする(し続ける)ということがかなりの難易度である場合、どのようにすべきかなのですが、最近OMF(Offering Market Fit)とか言い始めてます。

これは単機能・限定領域には難しいのですが、複雑・広範囲なProduct/Serviceには向いていると思います。

顧客ニーズの着眼点はいろいろとあって、「経済性」「効率性」「工数」「安全」「社内協力容易性」「環境」「人材」など様々なものがあります。これをOfferingとしてアレコレ着眼点を変えて提案(offering)し、その反応を見て刺さりドコロを検証していく。

つまり、OfferingとProduct/Serviceを分離していくことです。

これはBDM (Business Development Manager)の仕事ですが、対象顧客に刺さったOfferingを、実際のProduct/Serviceに反映していくのであれば、PMFを繰り返すために必要な設備投資も開発工数も減りそうです。

ある程度の営業リソースもマーケティングリソースもある、エンタープライズ向け商材ならば可能だと思います。

DigitalとCOVID19でわかる、「昔の人はすごかった」

このあたりの切り口と言葉の選び方の訓練は、一朝一夕ではできないでしょう。顧客に内在する「切り口(=顧客価値)」と「自社商材の価値」のつじつまを合わせるのは顧客訪問だけでも難しい所です。

そこで、注目しているのが先人達の智慧。DigitalとCOVIDでリアルイベントは「集客・認知」として難しい状態になり、ABMの追求で「Lead Gen」としても効率性を問われるようになりましたが、「Offering Creation & Fitting実践の場」としては最高の機能を提供してくれます。

・顧客にフックするセッションのタイトル
・前提環境と顧客課題の設定
・課題解決のアプローチ
・自社推薦理由
・CTA

のクオリティを、来場者とアンケートに晒されて評価される機会はなかなかありません。つまり人材育成とオファリング育成のためにイベントを使うのです。これはイベントだけでなく、Webコンテンツでもカタログでも構わないと思います。より難易度が低いので入門に向いています。

つまりは「Output頑張れ」なんです。Digitalによっていろんなものが計測できるようになったけど、従来の「場」にはいろんな意味が含まれているんだな、という感想を持ってます。

まとめ

・PMFだけでなくOMFをやってみるといいよ
・イベントやWebでOfferingのOutputしてOMF頑張れ
・昔の人は偉かった
・デジタルで一側面は数値化できるけど多様な成果もあるよ