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企画の極意は、「俺マーケティング」にあり|人成塾(プロデューサー・小国士朗/ナオカケル株式会社代表・中島ナオ)

ノンフィクション作家・小松成美がゲスト講師を選び、次の時代を生きるためのヒントをありのままの言葉で学ぶ『人成塾(じんせいじゅく)』。今回の対談ゲストは、認知症の人がホールスタッフをする「注文をまちがえる料理店」、がんを治せる病気にするプロジェクト「deleteC」など、ユニークで温かくエキサイティングな企画を生み出し続けているフリープロデューサーの小国士朗さん第3弾です!
<文>奥村サヤ<編集>池田アユリ,yasu

中島ナオさんに捧ぐ

NHKのディレクターとして数々の名番組を制作し、フリーになってからは、その発想力と行動力で、類を見ない発信を続ける小国士朗さん。オンライン人成塾のゲストにと待ち焦がれた小国さんが、配信の日に1人のゲストを伴っていました。
「がんを治せる病気にしたい 」
ステージ4のガンと戦いながら、そうした思いを実現するため、ガン治療の研究者をサポートする活動「deleteC」を小国さんとともに主催する中島ナオさんです。コロナ禍であり、なおかつガン治療のために感染の危険が大きなナオちゃんは、当時外出を控えていてのですが、私に会うそのために配信会場を訪ねてくださいました。

美しいその人は、私の目を見て「小松さん、お会いしたかったです」と言って優しく微笑みます。そして、末期ガンの宣告を受けているなど信じられないほどの輝く瞳で、自らのデザインや、思いを込めて完成させた製品について語ってくれました。

小国さんがナオちゃんの熱い思いを受け止め、deleteCをスタートさせる様子をオンラインサロンで詳しく語ってくれたのですが、それを聞きながら、小国さんの優しさと、ナオちゃんの天命とも言うべき使命感に胸がいっぱいになっていました。配信終了後、私はナオちゃんにこう告げました。
「ナオちゃん、コロナがひと段落したら、今度はナオちゃんがオンラインサロンのゲストにいらしてくださいね、小国さんをエスコート役にして(笑)」
ナオちゃんは、小さくジャンプするほど元気に、こう答えてくれました。「はい!もちろんです。その日が来るのを待っています」
けれど、もう一度お会いすることも、もっと詳しくdeleteCについて伺うことも、ついに叶いませんでした。ナオちゃんは、2021年4月20日、38歳の若さで天に召されたからです。

今は、たった一度でしたが、ナオちゃんに会う機会を作ってくれた小国さんに心から感謝しています。

そして、これからも、ナオちゃんと小国さんの情熱の結晶である「deleteC」の熱烈な応援者でありたいと思います。小国さんの言葉に迸るdeleteCの意義を皆さんも受け止め、自分や家族、仲間のための活動にしてくだされば嬉しいです。
中島ナオ公式HP

小松成美より

自分の可能性を狭めないために、肩書きは書かない

小松:「注文をまちがえる料理店」を行ったことで、NHKという大きな枠を離れてもいいかなと思ったのでしょうか?

小国:思いましたね。「注文をまちがえる料理店」を行ったときは、NHKに在籍はしていましたが、NHKの小国としてではなく「小国士朗」として行いました。クラウドファウンディングで自分たちでお金を集めて、仲間を一人ひとり集めて、チームビルディングをして実現していったんです。

そうしたら、結果的にすごく広がりました。こんなに面白いことってないんですよね。自分が思いついたことをカタチにして、好きな仲間を集めて自分の責任で全部やり切る。

これ以上面白いことはないし、若い世代にもたくさんリーチして届けられるというのは、何ものにも代えがたい喜びがありました。「番組を作らないディレクター」と名乗っているし、番組にこだわらなくてもいいのかもしれないと思うことができ、辞めることを決意しました。

小松:小国さんの名刺は肩書きがありませんが、一人でやっていくというような覚悟の表れ的な感じなのでしょうか?

小国:すごく悩んだんです。NHKを辞めたのに、またプロデューサーという肩書きもどうなのかなと悩んで、結局つけるのを辞めました。

自分をプロデューサーと名乗ったら、もらった相手はどんな人なのかイメージしてくれるとは思います。でも、実際はプロデューサーって何をする人なのかよくわからないですよね。わからないのに、名刺交換をしてわかった気になるというのがすごく嫌だったんです。だったら僕は「自己紹介の時間を15分ください」と言って、僕が何をする人なのかを説明します。

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